日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

Actinomyces   (2024/01/16 更新)


臨床状況

  • 放線菌症は,通常は以下の4つの感染症状の1つとして発症する.
  • 腹部:腹部手術後に腫瘤(±瘻孔)として発症,たとえば虫垂破裂後の後期合併症
  • 頸部/顔面:顎放線菌症.放線菌症として最も多い病態で,歯や顎部の外傷後に腫瘤および瘻孔として発症
  • 骨盤内:卵管卵巣膿瘍.子宮内避妊器具(IUD)の合併症ではIUDを除去する.
  • 肺:慢性病変であり,腫瘤,広汎な肺浸潤がみられ,肺がん,結核,市中感染肺炎に似ることがある.
  • 検査結果陽性
  • 増殖が遅い嫌気性グラム陽性桿菌
  • Actinomyces属のいくつかの種がヒトでの疾患の原因となるが,そのうち最も多いのがActinomyces israeliiである.
  • 感染組織で集塊,いわゆる硫黄顆粒(sulfur granule)を形成する.
  • 個々の疾患,症候群については,放線菌症参照

分類

  • グラム陽性桿菌
  • Actinomyces israelii(もっとも多い)
  • Actinomyces meyeri
  • Actinomyces turicensis
  • Actinomyces europaeus

第一選択

  • ABPC 200mg/kg/日3~4回に分割静注・2~6週間
  • PCG 1000万~2000万単位/日,4~6時間ごとに分割静注・4~6週,その後Penicillin VK 2~4g/日経口
  • AMPC 2g経口1日2回・6~12ヵ月(コメント参照)

第二選択

  • DOXY 100mg静注†1日2回・2~6週,その後経口6~12ヵ月
  • CTRX 2g静注1日1回・2~6週,その後経口処方の1つを6~12ヵ月
  • CLDM 600~900mg静注8時間ごと2~6週,その後300mg1日3回経口・6~12ヵ月
  • AMPC 2g経口1日2回・6~12ヵ月

(†:日本にない剤形)

コメント

  • 同様に有効なもの:CLDMEM
  • MNZ は活性なし.
  • 経口治療に先立ち静注治療によるrun inを2~6週行うという推奨は,古典的かつ経験的なものである.先行する静注治療の期間を短く(たとえば3日)しても,または静注治療を行わなくても,特に重症度の低い例では奏効したとの症例報告がある(Chest 128: 2211, 2005).治療期間が3カ月より短くても,病変が小さい場合には奏効することがある.
  • 多菌性の感染の場合には,他の病原菌をカバーする処方を選択すること.
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2024/01/15