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日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版
移植患者-カンジダ症の予防
(
2021/8/31 更新
)
臓器移植患者,血液学的悪性疾患患者でのカンジダ感染予防
臨床状況
血液学的悪性疾患
急性白血病の分化導入療法または好中球減少症に対する再導入療法.
自己造血細胞移植レシピエントの生着前の粘膜炎.
同種異系造血細胞移植レシピエントの生着前で,糸状菌に対する有効な予防が適用されていないと思われる場合.
急性骨髄性白血病,好中球減少症を伴う骨髄異形成症候群の患者,同種異系造血細胞移植レシピエントで移植片対宿主病を起こした場合は,
Aspergillus
に活性のある抗真菌薬による予防を考慮する.
移植患者ーアスペルギルス症の予防
を参照.
一部の固形臓器移植レシピエント(
Clin Transplant 33: e13623, 2019
)
肝臓移植レシピエントで,次のリスク因子のうち2つ以上を持つ場合:長時間または複数回の手術;再移植;腎不全;大量の輸血が必要だった場合;胆管空腸吻術;周術期の
Candida
定着.
膵臓移植レシピエントで腸管ドレナージを行った場合,血管内血栓または灌流後膵炎がある場合.
小腸移植レシピエントで拒絶反応や機能不全が起こった場合,強力な免疫抑制を行った場合,吻合部破綻,腹部再手術,多臓器移植.
肺および心肺移植レシピエントには,
Aspergillus
に活性のある抗真菌薬による予防を検討する.
移植患者ーアスペルギルス症の予防
を参照.
IDSAガイドライン:
Clin Infect Dis 62: 409, 2016
病原体
Candida albicans
が最も多い
非
albican Candida
属も病原となることがある.
第一選択
血液学的悪性疾患で,
Candida
感染予防(
Aspergillus
ではなく)を目的とする場合
FLCZ
400 mg経口または静注1日1回 ,好中球減少症が回復するまで
高リスクの肝臓,小腸,膵臓移植レシピエント
FLCZ
400mg経口1日1回,治療期間はリスク因子と移植臓器により異なる
第二選択
CPFG
70mg静注初回投与,その後50mg/日静注,または
MCFG
150mg/日静注,または
Anidulafungin
200mg初回投与,その後100mg/日静注
肝臓移植患者を対象としたプロスペクティブランダム化試験では,FLCZ,CPFG,L-AMBに対する
MCFG
の非劣性が示された(
Clin Infect Dis 60: 997, 2015
).
ITCZ
経口溶液200mg経口1日2回
PSCZ
経口懸濁液(徐放錠と用量が異なる):200mg(5mL)1日3回,食事または酸性の炭酸飲料(たとえばジンジャーエール)とともに服用
VRCZ
200mg経口/静注1日2回
L-AMB
3~5mg/kg/日
コメント
血液学的悪性疾患患者における
Candida
感染予防に関する推奨は,好中球減少がん患者での抗菌薬使用に関するIDSA診療ガイドライン(
Clin Infect Dis 52: 427, 2011
),およびNCCN(
National Comprehensive Cancer Network
)のがん関連感染症の予防と治療に関するガイドライン(Version 1, 2012)でみられる.固形臓器移植レシピエントでの
Candida
感染予防に関する推奨は,臓器移植レシピエントでの
Candida
に関する米国移植学会のガイドラインでみられる(
Clin Transplant 33: e13623, 2019
).
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