日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

術後感染症の予防-頭頸部手術  (2020/11/4 更新)


臨床状況

  • 手術30~60分前に投与する.
  • 頭頸部手術における抗菌薬の予防投与は,口腔および咽頭の粘膜を含む手術においてのみ有効のようである(例:喉頭,咽頭腫瘍).しかし,予防をしても創部感染率は高い.
  • 汚染のない頭頸部手術では,人工器具の埋め込みを行うのでなければ予防投与は必要ない
  • 鼓膜切開チューブでは予防は不要

病原体

  • 口腔および中咽頭の正常細菌叢
  • 好気性菌/嫌気性菌の混合
  • 鼻腔内細菌叢が関与することがある.鼻腔内細菌叢にS. aureus が含まれることがある

第一選択

  • 人工器具を用いる無菌手術の場合:CEZ 2g静注1回(処置が4時間以上かかる場合には投与を繰り返す)
  • 無菌~汚染のある手術の場合:(CEZ 2g静注または Cefuroxime 1.5g静注)1回(処置が4時間以上かかる場合には投与を繰り返す)+MNZ 500mg静注1回,または
  • 無菌~汚染のある手術の場合:ABPC/SBT 3g静注1回(処置が2時間以上かかる場合には投与を繰り返す)

第二選択

  • CLDM 900mg静注1回(処置が6時間以上かかる場合には投与を繰り返す)±(GMまたはTOB 5mg/kg静注1回)
  • AMPC/CVA 1000/200mg静注†1回(処置が2時間以上かかる場合には投与を繰り返す)

(†:日本にない剤形)

コメント

  • 無菌~汚染のある処置で,グラム陰性細菌感染のリスクがある場合には,CLDMにGMまたはTOBを追加してもよい.
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2020/10/29