日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

肺ペスト,ペスト敗血症  (2025/12/23 更新)
肺ペスト


臨床状況

  • 肺ペスト,腺ペスト,ペスト敗血症の治療と予防
  • 発熱性,局所性,疼痛性リンパ節炎(横痃:よこね).局所リンパ節が腫大し,圧痛を呈する;鼠径リンパ節がもっとも多くみられる
  • 感染した齧歯類ノミの咬傷の結果
  • 治療しなければ菌血症となり,ショックを呈することもそうでないこともあり,肺およびまれに髄膜への播種を起こす
  • Yersinia pestisは,流行の危険性を伴う重大な病原体である.
  • 重症肺ペストまたは敗血症性ペスト患者,およびYersinia pestisの意図的な放出によって感染した患者の初期治療には,2つの異なるクラスの抗菌薬(例:CPFX+GM)による2剤療法を用いるべきである

診断/病原体

診断
  • もっとも迅速なのは抗原検出またはPCR
  • 横痃(膿瘍リンパ節)からの吸引物の染色は典型的な外観を呈する
  • 適切に染色すると,閉じた洗濯ばさみのような二極性の外観を呈する
病原体
  • Yersinia pestis

第一選択

治療の最初の48時間は特に,接触感染,飛沫感染を防ぐために隔離する.
状況
処方
治療期間
成人,治療
CPFX 400mg静注8時間ごと,または750mg経口12時間ごと
LVFX 750mg経口/静注1日1回
MFLX 400mg経口/静注1日1回
GM 5mg/kg静注1日1回
SM (入手できれば)15mg/kg静注/筋注1日2回
10~14日
成人,曝露前または曝露後予防
CPFX 500~750mg経口12時間ごと
LVFX 750mg経口/静注1日1回
MFLX 400mg経口/静注1日1回
DOXY 100mg経口12時間ごと
7日
小児,治療
CPFX 10mg/kg静注8~12時間ごと(最大400mg/回)または15mg/kg経口8~12時間ごと(最大500mg/回8時間ごと,750mg/回12時間ごと)
LVFX
■体重<50kg:8mg/kg経口/静注12時間ごと(最大250mg/回)
■体重≧50kg:500~750mg経口/静注1日1回
GM 4.5~7.5mg/kg静注/筋注24時間ごと
SM 15mg/kg静注/筋注12時間ごと(最大1g/回)
10~14日
小児,曝露前または曝露後予防
CPFX 15mg/kg経口12時間ごと(最大750mg/回)
LVFX
■体重<50kg:8mg/kg経口12時間ごと(最大250mg/回)
■体重≧50kg:500~750mg経口1日1回
DOXY
■体重<45kg:2.2mg/kg経口12時間ごと
■体重≧45kg:100mg経口12時間ごと
7日
妊婦,治療
GM 5mg/kg静注24時間ごと+(CPFX 400mg静注8時間ごとまたは500mg経口8時間ごと,またはLVFX 750mg経口/静注1日1回)
10~14日
妊婦,曝露前または曝露後予防
CPFX 500mg経口8時間ごと,または750mg経口12時間ごと
LVFX 750mg経口24時間ごと
7日

第二選択

状況
処方
治療期間
成人,治療
DOXY 200mg経口/静注1回,その後100mg経口/静注12時間ごと
CP 12.5~25mg/kg静注6時間ごと
ST 5mg/kg(トリメトプリム成分)経口/静注8時間ごと
10~14日
成人,予防
ST 5mg/kg(トリメトプリム成分)経口12時間ごと
TC 500mg経口6時間ごと
7日
小児,治療
DOXY
■体重<45kg:4.4mg/kg経口/静注初回,その後2.2mg/kg経口/静注12時間ごと・10~14日
■体重≧45kg:100mg経口1日2回・10日
MFLX
年齢<2歳,2~5歳,6~11歳:それぞれ6,5,4mg/kg,経口12時間ごと
年齢12~17歳
■体重<45kg:4mg/kg経口12時間ごと(最大200mg/回)
■体重≧45kg:400mg経口1日1回
CP 12.5~25mg/kg静注6時間ごと
10~14日
小児,予防
MFLX 上記と同様
ST 5mg/kg(トリメトプリム成分)経口12時間ごと
7日
妊婦,治療
MFLX 400mg経口/静注1日1回
DOXY 200mg静注1回,その後100mg静注12時間ごと
ST 5mg/kg(トリメトプリム成分)経口/静注8時間ごと
10~14日
妊婦,予防
MFLX 400mg経口/静注1日1回
DOXY 100mg経口12時間ごと
ST 5mg/kg(トリメトプリム成分)経口12時間ごと
10~14日

治療期間

  • 上記処方参照

コメント

  • 肺炎または敗血症の初期治療,および患者が安定するまでは静注での投薬が推奨される.
  • 職業的曝露を防ぐため,臨床微生物検査室にペストの可能性を伝えること.
  • SM筋注を1日2回3日間投与した後、CPFX 500mgを1日2回経口投与・7日の逐次併用療法とCPFX1日2回・10日間投与を比較したランダム化化非劣性試験では,2つのレジメンは同等の有効性を示したN Engl J Med 393: 544, 2025N Engl J Med 393: 603, 2025(論説)
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