日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

肺ペスト,ペスト敗血症  (2024/09/03 更新)
肺ペスト


臨床状況

  • 肺ペストまたはペスト敗血症の治療
  • Yersinia pestisはバイオテロに用いられる危険性がある

病原体

  • Yersinia pestis

第一選択

接触感染,飛沫感染を防ぐために隔離する.
成人:
  • 治療,以下の処方のいずれかを10~14日
  • CPFX 400mg静注8時間ごと,または750mg経口12時間ごと
  • LVFX 750mg経口/静注1日1回
  • MFLX 400mg経口/静注1日1回
  • GM 5mg/kg静注24時間ごと
  • SM 1g静注††/筋注12時間ごと
  • 曝露前または曝露後予防,以下の処方のいずれかを7日
  • CPFX 500~750mg経口12時間ごと
  • LVFX 750mg経口1日1回
  • MFLX 400mg経口1日1回
  • DOXY 100mg経口12時間ごと
小児:
  • 治療,以下の処方のいずれかを10~14日
  • CPFX 10mg/kg静注8~12時間ごと(最大400mg/回)または15mg/kg経口8~12時間ごと(最大500mg/回8時間ごと,750mg/回12時間ごと)
  • 体重<50kg:8mg/kg経口/静注12時間ごと(最大250mg/回)
  • 体重≧50kg:500~750mg経口/静注1日1回
  • GM 4.5~7.5mg/kg静注/筋注24時間ごと
  • SM 15mg/kg静注††/筋注12時間ごと(最大1g/回)
  • 曝露前または曝露後予防,以下の処方のいずれかを7日
  • CPFX 15mg/kg経口(最大750mg/回)
  • 体重<50kg:8mg/kg経口/静注12時間ごと(最大250mg/回)
  • 体重≧50kg:500~750mg経口/静注または経口1日1回
  • 体重<45kg:2.2mg/kg経口12時間ごと
  • 体重≧45kg:100mg経口12時間ごと
妊婦:
  • 治療,以下の併用処方を10~14日
  • GM 5mg/kg静注24時間ごと+(CPFX 400mg静注8時間ごとまたは500mg経口8時間ごと,またはLVFX 750mg経口/静注1日1回)
  • 曝露前または曝露後予防,以下の処方のいずれかを7日
  • CPFX 500mg経口8時間ごと,または750mg経口12時間ごと
  • LVFX 750mg経口24時間ごと
重症肺炎またはペスト敗血症の患者,およびYersinia pestisの意図的な放出後の感染患者の初期治療には,2つの全く異なる系統の抗菌薬2剤併用治療(例えば,CPFX+GM)を行わなければならない.

(††:米国では処方される)

第二選択

第二選択についてのより完全なリストは MMWR 70: 1, 2021 参照
  • 成人:
  • DOXY 200mg経口/静注†1回,その後100mg経口/静注†12時間ごと
  • CP 12.5~25mg/kg静注6時間ごと
  • ST 5mg/kg(トリメトプリム成分)経口/静注8時間ごと
  • 治療,以下の処方のいずれかを10~14日
  • 曝露前または曝露後予防,以下の処方のいずれかを7日
  • ST 5mg/kg(トリメトプリム成分)経口12時間ごと
  • TC 500mg経口6時間ごと
  • 小児:
  • 体重<45kg:4.4mg/kg経口/静注†初回,その後2.2mg/kg経口/静注†12時間ごと・10~14日
  • 体重≧45kg:100mg経口1日2回・10日
  • 年齢<2歳,2~5歳,6~11歳:それぞれ6,5,4mg/kg,経口12時間ごと
  • 年齢12~17歳
  • 体重<45kg:4mg/kg経口12時間ごと(最大200mg/回)
  • 体重≧45kg:400mg経口1日1回
  • CP 12.5~25mg/kg静注6時間ごと
  • 治療,以下の処方のいずれかを10~14日
  • 曝露前または曝露後予防,以下の処方のいずれかを7日
  • MFLX 蒸気と同様
  • ST 5mg/kg(トリメトプリム成分)経口12時間ごと
  • 妊婦:
  • 治療,以下の処方のいずれかを10~14日
  • MFLX 400mg経口/静注1日1回
  • DOXY 200mg静注†1回,その後100mg静注†12時間ごと
  • ST 5mg/kg(トリメトプリム成分)経口/静注8時間ごと
  • 曝露前または曝露後予防,以下の処方のいずれかを10~14日
  • MFLX 400mg経口/静注1日1回
  • DOXY 100mg経口12時間ごと
  • ST 5mg/kg(トリメトプリム成分)経口/静注12時間ごと

(†:日本にない剤形)

コメント

  • 肺炎または敗血症の初期治療,および患者が安定するまでは静注ルートでの投薬が推奨される.
  • 治療開始から48時間は患者を隔離する.
  • 職業的曝露を防ぐため,臨床微生物検査室にペストの可能性を伝えること.
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2024/09/02