日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

Mycobacterium leprae(ハンセン病)  (2026/05/19 更新)


臨床状況

  • Mycobacterium lepraeは抗酸菌でありハンセン病を引き起こす.ハンセン病には2つの主要な病型がある:
  • 少菌型:中間型,類結核型,境界類結核型
  • 多菌型:境界型,境界-らい腫型,らい腫型
  • らい性結節性紅斑(ENL)
  • 細菌量の多い患者では,治療中に抗原抗体複合体が集積するため,新しい痛み,圧痛を伴う紅斑性結節が生じる.
  • らい腫型および境界-らい腫型の症例でみられる.
  • 全身性の症状が多い.
  • 皮膚および神経の既存の病変の紅斑拡大,熱感,浮腫,潰瘍化は可逆的な反応である.
  • 典型的には,境界類結核型,境界型,境界-らい腫型の患者にみられる.
  • 全身性の症状は少ない.
  • National Hansens's Disease Program(NHDP)に相談することができる
  • NHDPは電話相談に応じ(1-800-642-2477),薬剤の無料提供を行っている.

病原体

  • Mycobacterium leprae
  • Mycobacterium lepromatosis

第一選択

米国NHDP治療推奨
  • 少菌型(中間型,類結核型,境界類結核型)
  • MFLX 400mg+RFP 600mg+MINO 100mg経口,すべて月1回12ヵ月投与
  • 多菌型(境界型,境界-らい腫型,らい腫型)
  • MFLX 400mg+RFP 600mg+MINO 100mg経口,すべて月1回24ヵ月投与
  • その他の薬剤
  • 上記薬剤のいずれかをCAM徐放剤500mg経口1日1回に替えてもよい
  • MFLXをLVFX 500mg経口月1回に替えてもよい
  • ハンセン病患者との接触者への予防的治療はルーチンには推奨されない
境界反応の治療(細胞性免疫反応,1型反応)
  • 軽症:非ステロイド性抗炎症薬による対症治療
らい性結節性紅斑(ENL)(抗原-抗体免疫複合体を介する,2型反応)
  • ENLは抗原および免疫複合体の過剰によるもので,必ずしも治療後反応のみではない.治療前あるいは治療後何年もたってから発症することもある.
  • 軽症:非ステロイド性抗炎症薬による対症治療

第二選択

WHO治療推奨,医療資源が乏しい環境で上記薬剤が入手できない場合
  • 少菌型(中間型,類結核型,境界類結核型):(ジアフェニルスルホン 100mg1日1回+RFP 600mg月1回+CLF 300mg月1回および50mg1日1回)経口・6ヵ月
  • 多菌型(境界型,境界-らい腫型,らい腫型):少菌型とと同様の処方・12カ月
  • ハンセン病患者との接触者への予防的治療-ハンセン病および結核を除外した後:年齢15歳以上ではRFP 600mg1回(小児用量については,WHOガイドラインを参照)
薬剤耐性が疑われる場合のWHO治療推奨
  • RFP耐性
  • ([OFLX 400mg1日1回,またはLVFX 500mg1日1回,またはMFLX 400mg1日1回]+MINO 100mg1日1回+CLF 50mg1日1回)・6カ月,その後([OFLX 400mg1日1回,またはLVFX 500mg1日1回,またはMFLX 400mg1日1回,またはMINO 100mg1日1回]+CLF 50mg1日1回)・18カ月,または
  • ([OFLX 400mg1日1回,またはLVFX 500mg1日1回,またはMFLX 400mg1日1回]+CAM 500mg1日1回+CLF 50mg1日1回)・6カ月,その後([OFLX 400mg1日1回,またはLVFX 500mg1日1回,またはMFLX 400mg1日1回]+CLF 50mg1日1回)・18カ月
  • RFPおよびOFLX耐性
  • CAM 500mg+MINO 100mg+CLF 50mg1日1回)・6カ月,その後([CAM 500mg,またはMINO 100mg]+CLF 50mg1日1回)・18カ月

治療期間

  • 上記処方参照.

コメント

  • RFP/MINO/MXFL処方では,3種類の抗菌薬を月1回同一日に服用しなければならない.
  • 3種類の抗菌薬は,それぞれ15分から45分の間隔をあけて服用するか,朝食,昼食,夕食の間に服用すると,より忍容性が高くなる.
  • ベダキリン単剤治療の概念実証(POC)では,皮膚病変からのM. leprae(均質化した組織をマウス足底部に接種して検査)を4週で除去し,皮膚病変の外観を7週で改善したことが示された(N Engl J Med 391: 2212, 2024).
  • サリドマイドは米国では1-800-4-CELGENEで入手可能.サリドマイドは有効だが,WHOは毒性のおそれがあるため推奨していない(J Infect Dis 193: 1743, 2006).NHDPガイドラインではサリドマイドは現在でも選択薬となっている.
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2026/05/18