日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

前立腺炎-細菌性,慢性  (2024/04/16 更新)
慢性細菌性前立腺炎の治療


臨床状況

  • 微熱,頻尿,排尿障害,尿意切迫,会陰部不快感.
  • 慢性感染であり,尿または前立腺分泌物の培養陽性.
  • 下記コメント欄の慢性疼痛症候群,非感染性慢性前立腺炎を参照.

病原体

  • 腸内細菌科(80%)
  • Enterococcus 属(15%)
  • P. aeruginosa
  • Burkholderia pseudomallei(まれ,通常は急性前立腺炎)

第一選択

  • CPFX 500mg経口1日2回・4週,または
  • LVFX 750mg経口24時間ごと・4週(承認用量より高用量については.コメントを参照)

第二選択

  • ST 2錠経口1日2回・1~3カ月
  • AZMC. trachomatisが疑われる場合)

コメント

  • LVFX:FDA承認用量は500mgだが,低用量での治療失敗が報告されているため,編者はより高用量の750mgのほうが良いと考える.
  • 尿培養が重要:前立腺マッサージ後の尿の培養結果が最も良い.
  • 治療が失敗した場合は感染した前立腺結石を考える.
  • 診断の確認
  • 複合的な治療アプローチ
  • 5Aを用いる
  • Avoid:症状を悪化させる可能性のある食事または運動の習慣(たとえば,自転車)を避ける
  • Antibiotics:抗菌薬治療(4週治療が奏功しなければ,尿路感染症と確定診断されないかぎり,それ以上の抗菌薬治療は行うべきでない)
  • Alpha:α遮断薬.複合的治療プランのひとつ
  • Anti:抗炎症薬.複合的治療プランのひとつ
  • Alpha:5α還元酵素阻害薬.年齢>50歳の男性,検査で前立腺肥大を確認
  • 最も多い前立腺炎症候群である.
  • 患者は前立腺炎の症状を示すが,培養は陰性,前立腺分泌物は細胞を含まない.
  • 病因は不明.
  • 抗菌薬治療は推奨されない.
  • FOMが前立腺に移行し,3g経口1日1回・12~16週で治療に成功したという報告がある(Clin Infect Dis 61: 1141, 2015).別の15例は,3g経口48~72時間ごと・6週間に反応した(Antimictob Agents Chemother 60: 1854, 2016).他の選択肢がない場合(たとえば,これらの報告と同様ESBL産生菌の場合など)はFOMが経口薬(注)の選択肢となる可能性もある.
【注】FOM 経口は米国ではFosfomycin tromethamineであり,日本のホスホマイシンカルシウムとは異なる.
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2024/04/15