日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

Burkholderia pseudomallei (類鼻疽)  (2023/11/07 更新)


臨床状況

  • Burkholderia pseudomalleiによる感染症は類鼻疽(メリオイドーシス)とよばれ,皮膚膿瘍,原発性菌血症,肺炎(最も多い),骨および関節感染症,中枢神経系感染症,深部組織膿瘍が含まれる.
  • 東南アジア,タイ,マレーシア,シンガポール,北部オーストラリアでは致死性肺炎および敗血症のおもな原因菌であるが,中南米でもみられることがある.

病原体

  • グラム陰性桿菌

第一選択

  • 初期の静注治療
  • CAZ 2g(小児50mg/kg)静注6時間ごと,または
  • MEPM 1g(小児25mg/kg)静注8時間ごと(中枢神経系感染では用量を2倍にする)
  • 治療期間:14日,重症例/臨床的悪化/合併症のある肺炎,深部組織感染,骨/関節感染,神経系疾患では≧4~8週(コメント参照)
  • 再発予防のために初期治療に続いて除菌治療を行い,最低3ヵ月は治療する
  • ST 6~8mg/kg経口(トリメトプリムとして)1日2回

第二選択

  • 再発予防のために初期治療に続いて除菌治療を行い,最低3ヵ月は治療する(以下の処方のどちらもSTほど有効ではない)
  • DOXY 100mg経口1日2回
  • 妊婦:AMPC/CVA 20mg/5mg経口1日3回(消化管不耐性のために不耐となることがあるため用量に注意)

抗微生物薬適正使用

  • オープンラベルランダム化研究で,ST12週は,全死亡率,複合死亡率,再発について,20週治療に対して非劣性であった(Clin Infect Dis 73: e3627, 2021).
  • 治療期間:3~6ヵ月.ある種の感染症ではより長期の静注治療
  • 感染性関節炎,深部組織膿瘍:4週
  • 骨髄炎:6週
  • 中枢神経系感染:8週
  • Darwin類鼻疽治療ガイドラインでの,肺炎/菌血症の治療期間に関する推奨
  • 菌血症+単一の肺葉への浸潤,または菌血症を伴わない複数の肺葉への浸潤の場合は,最低3週の静注抗菌薬治療
  • 菌血症+複数の肺葉への浸潤の場合は,最低4週の静注抗菌薬治療

コメント

  • 最近の米国での流行は,香水を用いたアロマセラピーの,類鼻疽流行地域から輸入された室内スプレーと関連している(N Engl J Med 386: 861, 2022).流行の範囲は従来の熱帯地方を越えて拡大している可能性がある.
  • バイオテロリズムに使用される可能性がある.
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2023/11/06