日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

性的曝露時の感染予防  (2021/12/28 更新)
性的暴行,性的接触:抗菌薬による感染予防


臨床状況

  • 性的暴行の被害者および性的な接触に対する,抗菌薬による曝露後予防.
  • 性的暴行
  • 専門家の助言を得ること:法医学的検査,さまざまな検体,妊娠,身体の外傷,心理的なサポート.
  • 検体採取に進む場合,最初の検査では,挿入部位でNAATを用いてN. gonorrhoeaeおよびChlamydiaを検査し,膣トリコモナスのための直接薄層塗抹法検査(および膣スワブ培養)を行う.梅毒,B型肝炎,HIVなどの血清学的検査が必要となることもある.
  • 1~2週後に性感染症のフォローアップ検査.最初陰性の場合でも,梅毒,HBV,HCVおよびHIV血清検査を6,12,24週に行う.
  • 性的接触
  • どの処方によっても潜伏梅毒を排除できない可能性があるため,梅毒検査を行うこと.Trichomonas vaginalisも考慮する.
  • 接触者を同定し,疑われる性感染症を適切に治療する.他の病原体および治療方法については,CDCの性感染症ガイドライン(2021)(MMWR Recomm Rep 70 (RR-4): 1, 2021)を参照.
  • HIV/HBVリスクを評価する.
  • 梅毒では検査結果が陰性となることがあるため,リスクを想定して曝露後3カ月以内はPresumptive therapyを行う.梅毒診断を試みる.

病原体

  • Trichomonas vaginalis
  • HIV,HBVについても考慮する.

第一選択

  • 性的暴行
  • 解剖学的女性:CTRX 500mg筋注††+MNZ 500mg経口1日2回・7日+(DOXY 100mg経口1日2回・7日).コメント参照.
  • 解剖学的男性:(CTRX 500mg筋注††またはCFIX 400mg経口1回)+MNZ 2g経口1回+(DOXY 100mg経口1日2回・7日)
  • >150kgの場合:CTRX 1g筋注
  • 必要に応じてHIVおよび/またはHBV予防.
  • 性的接触ではN. gonorrhoeaeChlamydiaをカバーする
  • N. gonorrhoeaeに対して:CTRX 500mg筋注1回)+(Chlamydiaに対して:DOXY 100mg経口1日2回・7日)
  • >体重150kgの場合:CTRX 1g
  • 曝露後72時間以内にDOXY 200mg経口1回.梅毒発症を73%抑制

(††:米国では処方される)

第二選択

  • なし

コメント

  • C型肝炎は通常の性行為では簡単には感染しないが,高リスク環境(たとえば,HIV感染の男性同性愛者)では検査を考慮すること(MMWR 60: 945, 2011).
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2021/12/28