日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

エールリヒア症,Ehrlichia 属,Anaplasma  (2023/09/12 更新)
エールリヒア症,アナプラスマ症


臨床状況

  • Ehrlichiaは偏性細胞内細菌であり,ヒト細胞質および動物の白血球内で増殖する.
  • 病原性Ehrlichia,疫学と発疹発症率
病原体
ダニ(媒介動物)
ダニ咬傷
発疹(%)
地理的分布
Ehrlichia chaffeensis(ヒト単球性エールリヒア症:HME)
ひとつ星ダニ(Lone Star)
患者の68%
成人23%,小児60%
米国中北部,南部および中部大西洋地域
Anaplasma phagocytopilium (ヒト顆粒球アナプラスマ症: HGA)
マダニ(Ixodes)
患者の67%
まれ
米国ニューイングランド,中北部,大西洋岸
Ehrlichia ewingii : HGAのイヌ型(HGAと混同される:顆粒球中の封入体)
ひとつ星ダニ(Lone Star)
?
まれ
米国大西洋岸南部,中南部

  • 一般的な初期症状:発熱,頭痛,悪心,嘔吐,筋肉痛.
    3つの病原体に共通の臨床検査所見:
  • 血小板減少症
  • 白血球減少
  • ASTおよびALT上昇
  • 本症が疑われる場合には,臨床検査による確認を待たずに特異的治療を行う.
  • つねに他のダニ媒介性病原体を念頭におくこと:

病原体/診断

病原体
  • Ehrlichia chaffeensis:HMEの病原体
  • Ehrlichia ewingii:HGEのイヌ型病原体
  • Anaplasma phagocytopilium :HGEの病原体

診断法
  • 診断方法
  • PCRが望ましく,現在ではCDC,一部の州の公衆衛生検査機関や商業的な検査機関で入手可能.
  • 間接蛍光抗体アッセイ.それぞれのEhrlichia属に対して別々にアッセイを行う必要がある.確定診断には抗体力価の4倍上昇が必要.
  • 末梢血細胞質内の菌(封入体)を顕微鏡により確認.HGAの20~80%,HMEの1~20%で認められる.

第一選択

  • 成人:DOXY 100mg静注†または経口1日2回・10日
  • 妊婦:第二選択参照
  • 小児(体重<45kg):DOXY 2.2mg/kg1日2回(最大100mg)・10日

(†:日本にない剤形)

第二選択

  • RFP 10mg/kg経口1日2回(最大300mg1日2回)・10日
  • 小児:
  • DOXY:体重>45kgなら100mg静注†または経口1日2回・7~10日,<45kgなら4mg/kg静注†または経口2回に分割(最大100mg/回)・4~5日
  • RFP:10mg/kg経口1日2回(最大300mg/回)・7~10日
  • 妊婦:通常DOXYは避けるが,生命の危険があればDOXY使用は正当化されうる(Expert Opin Drug Saf 15: 367, 2016).第二選択としてRFPも可.

(†:日本にない剤形)

コメント

  • CPFXOFLXCP はin vitroで活性があるが,臨床的有効性は証明されていない.
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2023/09/11