日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

壊死性筋膜炎-S. aureus  (2023/08/01 更新)


臨床状況

  • S. aureus(市中感染MRSA)による皮膚感染症.
  • 感染は筋と皮下脂肪の間の筋膜面まで達し,壊死性筋膜炎を引き起こす.

病原体

  • S. aureus(市中感染MRSA)

第一選択

  • 診断検査のための切開,ドレナージとデブリドマン
  • VCM 15~20mg/kg8~12時間ごと(望ましいAUC24 目標400~600μg・時間/mL達成をめざす(AUC-用量設定の原理と計算を参照)が,さもなければトラフ値15~20μg/mLを目標とする)

第二選択

  • 診断検査のための切開,ドレナージとデブリドマン
  • DAP 4~6mg/kg静注24時間ごと
  • LZD 600mg静注12時間ごと
  • CLDM 900mg静注8時間ごとが初期治療に追加されることがあるが,これは菌がCLDM感受性である場合にはタンパク(毒素)合成を阻害できるためである:LZDはタンパク合成阻害作用をもつため,LZDが用いられていればCLDM追加は不要.

抗微生物薬適正使用

  • 経験的治療の処方は,病原菌が同定されるまでは,上記菌種に加えてグラム陰性菌および嫌気性菌をカバーできるものでなければならない.病原菌が同定されれば,標的治療に切り替える.

コメント

  • 従来は S. aureus は壊死性筋膜炎とは関連しないと考えられていたが,市中感染MRSAは本疾患の原因となる.
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2023/07/31