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日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版
胃腸炎-
Shigella
(
2022/10/4 更新
)
特異的治療,
Shigell
a胃腸炎
臨床状況
細菌性赤痢:急性細菌性下痢,多くは重症
旅行者下痢症の原因となる
発熱および血便の病歴は患者の約半数に認められる
溶血性尿毒症症候群の原因となる
しばしば男性同性愛者(MSM)における性的感染に関連する
Shigella 属
も参照
病原体
Shigella 属
第一選択
治療は,免疫不全患者,重症患者,または合併症のある患者のために温存しておくこと.
in vitro の感受性試験結果を確認し,それに基づいた特異的治療を行う.
成人
CPFX
750mg経口1日1回(または1日2回)・3日,または
LVFX
500mg経口1日1回・3日
重症の場合は,CPFXまたはLVFX静注,または
CTRX
1~2g静注1日1回・5日
小児
AZM
10mg/kg/日(最大1g)1日1回・3日
重症の場合は,
CTRX
50~75mg/kg/日・2~5日,または
CPFX
懸濁液†10mg/kg1日2回・5日
免疫不全状態の小児および成人:治療7~10日
海外旅行者,免疫不全者,MSMでは抗菌薬耐性株が多い.
(†:日本にない剤形)
第二選択
AZM
500mg経口1日1回・3日(成人)
ST
800mg/160mg経口1日2回・5日(分離菌の感受性が確認された場合のみ)
抗微生物薬適正使用
細菌性赤痢は自然治癒する感染症であり,罹病期間は5~7日.治療は罹病期間を1~2日短縮するのみで,耐性を促進し,排菌期間を延長する可能性がある.
治療は,より重症の患者,または流行時に保健機関が勧告した場合のために温存しておく.
CPFX MIC 0.12~1.0μg/mLの株は感受性と報告されることがあるが,この濃度ではフルオロキノロン系薬耐性遺伝子が存在する可能性がある.MICを確認し,CPFX MIC≧0.12μg/mLなら,検査室から感受性という報告があってもフルオロキノロン系薬の使用は避けること.
AZM耐性
Shigella flexneri
のMSM間での流行が報告されている(
Lancet Infect Dis 15: 913, 2015
).
複数の抗菌薬に耐性を示す多剤耐性(MDR)/超多剤耐性(XDR)
Shigella sonnei
の退役施設(
Clin Inf Dis 74: 455, 2022
)およびMSM(
Lancet Infect Dis 22: 1503, 2022
)での流行が報告された.
Shigella
感染での,CTRX,AZM,フルオロキノロンへの抗菌薬耐性リスクが,特にMSMで上昇している(
Emerg Infect Dis 22: 1613, 2016
;
Lancet Infect Dis 15: 913, 2015
;
Lancet Infect Dis 22: 1503, 2022
).
コメント
耐性に関するCDCの勧告:
https://emergency.cdc.gov/han/han00401.asp
,および
Shigella
の抗菌薬耐性増加を監視したCDCのレポート:
https://www.cdc.gov/drugresistance/pdf/threats-report/shigella-508.pdf
.
有効な治療から少なくとも48時間便培養が陰性になることを確認する.
フルオロキノロン耐性が増大し,多剤耐性株の感染に対する治療選択薬AZMに対する耐性株が多い(
Emerg Infect Dis 22: 1083, 2016
).
旅行者下痢症
に対する経験的治療の推奨は現在,単回治療であり,症状が改善しなければ3日連続治療である.
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2022/09/29