日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

Eikenella corrodens  (2023/04/04 更新)


臨床状況

  • ヒトの口腔内正常細菌叢の一部.
  • ヒトによる咬傷や拳で殴った後の創傷感染の原因となりうる.
  • HACEK/HABCEKグループに含まれる:「培養陰性」となる,または「培養が難しく増殖が遅い」菌で,感染性心内膜炎の原因となる.

分類

  • グラム陰性球桿菌,~50%の株は寒天培地表面に穴や浸食をつくる

第一選択

感染したヒトによる咬傷:
  • AMPC/CVA 875/125mg錠1錠経口1日2回,または1000/62.5mg錠2錠経口1日2回
感染性心内膜炎
  • 推奨は,Eikenella corrodensに対する活性と,HACEKグループの微生物に対しガイドラインが示す治療法に基づく.
  • CTRX 2g静注1日1回・4週または,

第二選択

感染したヒトによる咬傷:
  • ペニシリンアレルギーの場合:LVFX 750mg経口1日1回
感染性心内膜炎:
  • CPFX 400mg静注12時間ごと・4週または,
  • CTRX 2g静注1日1回・4週+GM 1mg/kg静注8時間ごと・最初の2週

コメント

  • 治療推奨の根拠:
  • 通常はペニシリン感受性であるが,まれにβラクタマーゼ産生の耐性菌が存在する.ペニシリンとβラクタマーゼ阻害薬を併用すれば,in vitroでほぼ同等の感受性が得られる.
  • CTRXは活性があるが,Eikenellaは通常CEX,CEZには耐性.
  • フルオロキノロン系はin vitroでは活性がある.
  • 毒性のためGMとの併用治療は避ける.
  • CLDM,Dicloxacillin,Oxacillin,Nafcillin,MNZ,CEZ,CEX,EM,STに対する耐性が予想される.
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2023/04/03