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日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版
Campylobacter jejuni, Campylobacter coli
(
2024/03/12 更新
)
臨床状況
下痢を伴う急性疾患の主な原因.
自然治癒する感染症であり,抗菌薬治療は症状の持続期間を約1日短縮させるだけで有用性は少ない(
Clin Infect Dis 44: 696, 2007
).
食中毒:動物,特に家禽の消化管内細菌叢中の
Campylobacter
により,水や食物が汚染されることによる(
Clin Infect Dis 44: 701, 2007
;
Clin Infect Dis 57: 1600, 2013
).
Guillain-Barré症候群,反応性関節炎,過敏性腸症候群の発症前に
Campylobacter
感染が多くみられる(
N Engl J Med 366: 2294, 2012
).
C. jejuni
と
C. coli
は同じ臨床症状を引き起こす.
腹痛は虫垂炎に似ることがある.
診断には特別な培地での便培養が必要.
長期化した患者,重症の患者(たとえば,発熱,血便),免疫不全患者では治療が推奨される.
年齢65歳以上の患者,妊婦,免疫不全患者は重症化リスクが高い.
分類
Campylobacter jejuni
-グラム陰性桿菌(外見はガル翼状)(症例の85%以上)
Campylobacter coli
-グラム陰性桿菌(外見はガル翼状)
第一選択
AZM
500mg静注または経口24時間ごと・3日.まれだが菌血症の場合は14日治療.
AZM
1000mg経口1回(軽度で,菌血症を伴わない場合)
第二選択
CPFX
500mg経口1日2回・5日
EM
500mg経口1日4回・3日
DOXY
100mg経口1日2回・5日
抗微生物薬適正使用
注:特に米国以外における株はフルオロキノロン系薬およびDOXYに対する耐性が多い.より重症感染に対する治療では,感性を確認すること
フランスの592例の患者を対象とした5年間の観察試験では,ほとんど半数の株がフルオロキノロン系薬に耐性で,245例はマクロライドに耐性だった:
Clin Infect Dis 75: 803, 2022
.
コメント
生命の危険のある重症感染に対しては,アミノグリコシド系あるいはカルバペネム系を使用する.
フルオロキノロン系に対する耐性が多いため,旅行者の
Camphylobacter
胃腸炎にはAZMが第一選択である(
Antimicrob Agents Chemother 54: 1232, 2010
;
Clin Infect Dis 48: 1500, 2009
).
医療資源に乏しい環境での5歳以下小児の下痢の主要な原因と考えられてきており(
Lancet Glob Health 6: e1309, 2018
;
Lancet 388: 1291, 2016
),フルオロキノロン系薬およびマクロライド系薬への耐性に関連する(
Antimicrob Agents Chemother 63: e01911-18, 2019
).第二選択として
AMPC/CVA
を考慮すること.
ST
,ペニシリン系,セファロスポリン系は
Campylobacter
に対する活性なし.
2017年IDSAガイドライン参照(
Clin Infect Dis 65: e65, 2017
).
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2024/03/11