日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

Aeromonas   (2022/1/25 更新)


臨床状況

  • 淡水,汽水,海水またはヒルの口内細菌中に存在し,それらへの曝露後に起こる胃腸炎や創傷感染症の病原菌となる(Lancet 381: 1686, 2013).
  • 抗菌薬感受性の異なるいくつかの種が存在するため,感染創,便,血液の培養および感受性検査が必要となる.
  • すべて好気性グラム陰性桿菌
  • 世界のいくつかの地域でβラクタム系やフルオロキノロン系に対する耐性が報告されている.
  • すべてABPC,ペニシリン,CEZに耐性.
  • おもな臨床症候群:
  • 胃腸炎がもっとも一般的.旅行者下痢症の原因の一つ.
  • 菌血症性疾患を引き起こすことがある.

分類

  • Aeromonas hydrophila(最も多い)(グラム陰性桿菌)
  • Aeromonas veronii(グラム陰性桿菌)
  • Aeromonas shubertii(グラム陰性桿菌)

第一選択

  • 培養および感受性検査の結果が得られるまでは経験的治療を行う.
  • 重症感染創:
  • CPFX 400mg静注または750mg経口1日2回
  • LVFX 750mg静注1日1回(感受性は菌種や地域によって異なる)
  • 治療期間は創傷の重症度と臨床反応によって異なる
  • 胃腸炎(旅行者下痢症):
  • CPFX 500mg経口1日2回・3日
  • LVFX 500mg経口1日1回・3日
  • フルオロキノロン系経口薬は多価陽イオンによってキレート化することを念頭におくこと.投与前後1時間は経口カルシウム(乳製品),鉄,マグネシウム,その他の多価陽イオンとの併用は避けること.

第二選択

  • 菌血症または重症感染創
  • ST 8~10mg/kg/日静注6時間ごとまたは8時間ごとに分割
  • CTRX 2g静注1日1回
  • CFPM 2g静注8時間ごと
  • 胃腸炎:ST 2錠経口1日2回・3日

抗微生物薬適正使用

  • 上記の1剤以上にin vitroで耐性の場合,代替治療として,DOXYにフルオロキノロン系薬または広域スペクトラムセファロスポリン系薬のいずれかを併用する.

コメント

  • 多くの株は,抗緑膿菌活性のあるアミノグリコシド系およびカルバペネム系,テトラサイクリン系に対しても感受性がある(Antimicrob Agents Chemother 56: 1110, 2012).
  • Aeromonas属は,Ambler分類のすべてのクラス(つまりA,B,C,D)を含む複数のβラクタマーゼを産生しうる.その結果,個々の分離株は,ESBL,AmpCセファロスポリナーゼ,カルバペネマーゼ(メタロカルバペネマーゼを含む)を産生する可能性がある:Clin Lab Med 35: 313, 2015
ライフサイエンス出版株式会社 © 2011-2024 Life Science Publishing↑ page top
2022/01/20