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日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版
移植患者-B型肝炎の予防
(
2020/4/28 更新
)
臨床状況
過去にHBs抗原が除去されHBs抗体をもつ患者であっても,免疫抑制療法を受けた場合にはB型肝炎(HBV)が再活性化しうる.固形臓器移植など免疫抑制療法後の再活性化は罹患率や死亡率を高める.感染既往のあるレシピエントにおける肝移植後のHBV再活性化は予防可能である.血液学的悪性疾患,幹細胞移植,その他の免疫抑制状態にある患者の再活性化予防に関する議論は,
B型肝炎-再活性化
を参照.
推奨されるスクリーニング検査:HBs抗原,抗HBs抗体,抗HBc抗体.最新のスクリーニングガイドライン:
Ann Intern Med 161: 31, 2014
.
病原体
B型肝炎ウイルス (HBV)
第一選択
肝移植レシピエント(HBV感染あり)
レシピエントのHBs抗原陽性:HBIg(下記参照)+
エンテカビル
0.5mg1日1回
レシピエントのHBs抗原陰性/HBc抗体陽性/HBs抗体陽性または陰性:HBV DNAを1~3カ月ごとにモニター
肝移植レシピエント(HBV感染なし)
ドナーのHBs抗原陽性:通常,移植は禁忌
ドナーのHBs抗原陰性/HBc抗体陽性/HBs抗体陽性または陰性:レシピエントのHBs抗体陰性であれば
エンテカビル
0.5mg1日1回.HBs抗体陽性レシピエントではHBs抗体低下のモニターを考慮
肝臓以外の移植レシピエント(HBV感染あり)
レシピエントのHBs抗原陽性:HBIg(下記参照)+
エンテカビル
0.5mg1日1回
レシピエントのHBs抗原陰性/HBc抗体陽性/HBs抗体陽性または陰性:HBV DNA,肝機能,HBs抗原を1~3カ月ごとにモニター
肝臓以外の移植レシピエント(HBV感染なし)
ドナーのHBs抗原陽性:通常,移植は禁忌
ドナーのHBs抗原陰性/HBc抗体陽性/HBs抗体陽性または陰性:レシピエントのHBs抗体陰性であれば
エンテカビル
0.5mg1日1回.HBs抗体陽性レシピエントではHBs抗体低下のモニターを考慮
第二選択
テノホビル
300mg経口1日1回(特に移植前に
ラミブジン
投与を行っている場合)
エムトリシタビン・テノホビル
(それぞれ200mg,300mg)1日1回(移植前に投与していた場合)
コメント
HBV DNA>2万またはHBe抗原陽性のHBV感染レシピエントで,薬剤耐性HBVであることが明らか,肝細胞癌再発リスクが高い,HDVまたはHIVの同時感染がある場合には,HBIgを抗ウイルス治療と併用すること.移植前のHBV DNAが検出不能または非常に低い場合は抗ウイルス治療単独(HBIgなし)を考慮すること.HBIg静注と筋注のどちらを用いるか,および投与期間は個々の症例ごとに決定すべきである(
Therap Adv Gastroenterol 6: 309, 2013
).
HBs抗原陰性,HBc抗体陽性,HBs抗体陰性の全レシピエントに対し,HBVワクチン接種を考慮すること.
参考文献:
Therap Adv Gastroenterol 6: 309, 2013
;
Clin Transplant 33: e13514, 2019
;
JAMA 312: 2505, 2014
;
JAMA 312: 2521, 2014
.
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2020/04/23