日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

肺炎-Stenotrophomonas maltophilia  (2023/06/06 更新)
S. maltophilia 肺炎の特異的治療


臨床状況

  • Stenotrophomonas maltophilaによる院内肺炎(HAP)の特異的治療.
  • 免疫不全および/または衰弱した患者で発症しやすい.
  • 血液または喀痰培養陽性.

病原体

  • Stenotrophomonas maltophilia

第一選択

  • ST(トリメトプリムとして)8~12mg/kg/日静注/経口・8時間ごと,または12時間ごとに分割+MINO 200mg静注/経口12時間ごと(コメント参照)

第二選択

  • 次の薬剤から2剤の併用治療:ST(8~12mg/kg/日静注/経口8時間ごと,または12時間ごとに分割),LVFX(750mg静注/経口24時間ごと),MINO(200mg静注/経口12時間ごと),TGC(200mg静注1回,その後100mg静注12時間ごと),またはCefiderocol(2g3時間以上かけて静注8時間ごと)(Clin Infect Dis 74: 2089, 2022

抗微生物薬適正治療

  • 重症度,感染巣のコントロール,in vitro感受性,臨床反応に基づき,ST静注(のぞましい)またはMINO単剤経口治療へde-escalationしてもよい.

コメント

  • 観察研究のデータに基づくことだが,S. maltophiliaによる血流および下気道感染の治療においてSTに替えてLVFXを用いるのは理にかなっている(Open Forum Infect Dis 9: ofab644, 2022).
  • 標準的な治療処方はない.IDSAガイドライン(Clin Infect Dis 74: 2089, 2022)では,上記の薬剤ではよくみられる治療中の急速な耐性発現を防ぐための努力として併用治療を行うことになっている.
  • OmadacyclineおよびEravacyclineはin vitroで活性だが,臨床データはない
  • STおよびMINOが,検査された薬剤の中でもっとも活性が高かった
  • CefiderocolとEravacyclineは検査されなかった
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2023/06/05