日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

ライム病-心臓炎  (2024/10/22 更新)
ライム心膜炎


臨床状況

  • 心臓炎はライム病後期の合併症の一つ.有症者またはライム病の疑いのある患者にのみ心電図検査を行う.
  • 感染から2カ月以内に発症.1度あるいは高度の房室ブロックとして発現する.PR間隔>300mcecなら入院管理が適応となる.
  • 通常自然治癒する:徐脈に対しては一時的ペースメーカーを用いる.永久ペースメーカーは必要ない.
  • 他の症状:呼吸困難,浮腫,心悸亢進,立ちくらみ,胸痛,および/または失神
  • 米国では慢性的な心筋症のエビデンスはない.
  • しかし,まれに予期せぬ突然死が起こることがある(MMWR 62: 993, 2013).

病原体

第一選択

  • 有症状患者は入院させて経過観察し,注射薬(CTRXなど)による治療を行う.心ブロックが解消されたら,経口薬治療を行って治療を終了する.全治療期間は14~21日
  • 房室ブロック1度:
  • 成人:DOXY 100mg経口または静注†1日2回・14~21日(最大100mg1日2回),またはAMPC 500mg経口1日3回・14~21日
  • 小児:DOXY 4.4mg/kg/日経口1日2回に分割・14~21日,またはAMPC 50mg/kg/日経口1日3回に分割
  • 房室ブロック高度(2度または3度):
  • 成人:CTRX 2g静注24時間ごと・14~21日
  • 小児(8歳以上):CTRX 50~75mg/kg/日静注・14~21日

(†:日本にない剤形)

第二選択

  • 房室ブロック1度:
  • AMPC 500mg経口1日3回・14~21日(主に妊婦)
  • 房室ブロック高度(2度または3度):
  • CTX 2g静注4時間ごと(米国以外の入手可能な地域で),またはPCG 300万単位静注4時間ごと・14~21日

抗微生物薬適正使用

コメント

  • 永久ペースメーカーは必要ないが,一時的にペースメーカーが必要となることがある.房室ブロックは通常,抗菌薬を開始してから数日以内に消失する.総説によると,39%の患者は一時的にペースメーカーが必要となる:Clin Infect Dis 59: 996, 2014
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2024/10/21