日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

鼠径部肉芽腫(ドノバン症)  (2024/06/11 更新)
鼠径部肉芽腫,ドノバン症,Klebsiella granulomatisCalymmatobacterium granulomatis


臨床状況

  • 鼠径部肉芽腫,ドノバン症
  • 無痛で進行性の潰瘍性病変で,局所リンパ節腫脹を伴わない.
  • 病変部位は血行が多く(肉赤色),出血しやすい.
  • 米国ではまれ.東南アジア(インド),南米およびアフリカ南部に多い.オーストラリアで流行したが,現在は比較的少ない.

病原体

  • Klebsiella granulomatis(以前はCalymmatobacterium granulomatis

診断
  • 原因菌の培養は難しく,信頼性を欠く.
  • 暗視野顕微鏡:生検試料のライトギムザ染色でマクロファージ中にドノバン小体が認められる.
  • 一部の検査施設では診断にPCR法を利用できる.

第一選択

  • AZM 1g経口週1回(または500mg1日1回)・少なくとも3週(または治癒するまで)
  • 最初の数日で改善がみられない場合に,GM 1mg/kg静注8時間ごとを追加する専門家もいる

第二選択

  • DOXY 100mg経口1日2回・3週
  • ST 2錠経口12時間ごと・3週
  • CPFX 750mg経口1日2回・3週
  • EM 500mg経口1日4回・3週

抗微生物薬適正使用

  • 治療期間:臨床反応は通常1週でみられる.すべての病変が治癒するまで治療するが,4週ほどかかる場合もある.
  • DOXY,STとも治療失敗や再燃がみられる.

コメント

  • 直近60日以内に関係のあったセックスパートナーを検査する.関係した相手が無症候の場合は,経験的治療を行う意義は不明.
  • すべての患者でHIV検査を行うこと.
  • HIV患者の鼠径部肉芽腫治療も上記と同様に行う.
  • 治療が奏効したように見えても6~18カ月で再発することがある.
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2024/06/11