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日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版
淋疾-播種性淋菌感染症
(
2022/10/4 更新
)
播種性淋菌感染症(DGI),関節炎-皮膚炎症候群の治療
臨床状況
播種性淋菌感染症,関節炎-皮膚炎症候群.
まれだがありうる合併症として肝周囲炎(Fitzhugh-Curtis症候群),心内膜炎,髄膜炎がある.
症状がないか,尿道炎/子宮頸管炎の所見がある患者が多いが,直腸/咽頭の培養またはNAATが陽性となることもある.
性器または性器外での培養.
関節炎はしばしば腱滑膜炎または単関節/無症候性少関節の関節炎として発症.
リスク因子:終末補体経路の不全:遺伝性,または発作性夜間ヘモグロビン尿症に対するエクリズマブ処方でも誘導されうる(
Clin Infect Dis 69: 596, 2019
).終末補体経路の欠損は髄膜炎菌血症のリスクも増大させる.
鑑別診断:髄膜炎菌血症,ロッキー山紅斑熱,デング熱.
病原体
Neisseria gonorrhoeae
第一選択
CTRX
1g静注24時間ごと・少なくとも7日
髄膜炎(10~14日),心内膜炎(4週間)に対しては,
CTRX
1~2g静注・12~24時間ごとを全治療期間行うこと.
経口セファロスポリン系薬(
CFIX
800mg経口1日2回)またはフルオロキノロン系薬(
CPFX
500mg経口1日2回)への切り替えが可能かどうかは,血中からの分離株のin vitro感受性検査にもとづいて判断する.
軟骨の傷害を最小限とするために,整形外科医による関節洗浄が必要となることがある.
臨床症状が大幅に改善したら,その24~48時間後には経口に切り替え可能.
感染症専門医へのコンサルテーションが推奨される.
第二選択
CTRXは他の第3世代セファロスポリン系薬で代用できる
CTX
1g静注8時間ごと(入手可能な場合)
CZX
1g静注†8時間ごと
播種性疾患に対しては
SPCM
2g筋注12時間ごと(日本,ヨーロッパでは使用可能)
重症セファロスポリンアレルギーの場合は,感染症専門医にコンサルトして最良の第二選択を決定する.
(†:日本にない剤形)
コメント
フルオロキノロンは原因菌に感受性があれば有効である可能性もあるが,臨床データはない.
髄膜炎および心内膜炎の可能性を臨床的に評価すること.
SPCM:
欧州のガイドライン
では,播種性疾患に対して推奨されている.米国での販売は2005年に終了し,現在のCDCの性感染症ガイドラインでは推奨されていない.
血中からの分離菌の感受性が判明し,セファロスポリンやフルオロキノロンに対する活性がはっきりと示されている場合を除いては,ステップダウン療法は避けたほうがよい.
すべての
N. gonorrhoeae
感染患者はHIV,梅毒,および
Chlamydia
の検査を受けること.
セックスパートナーの評価を行う.
ルーチンでの
C. trachomatis
重複感染に対する治療は,耐性菌の選択が多いため,2020年のCDCガイドライン(
MMWR Morb Mortal Wkly Rep 69: 1911, 2020
)および2021年のCDC性感染症ガイドライン(
MMWR Recomm Rep 70: 1, 2021
)では推奨されていない.
CDCガイドラインのエビデンスのレビュー:
Clin Infect Dis 74: S95, 2022
.
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2022/09/29