日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

無症候性細菌尿  (2019/11/12 更新)


臨床状況

  • 無症候性細菌尿(ASB)は多くの集団でみられるが,研究ではこれらの集団(閉経前女性,非妊娠女性,糖尿病の女性,地域で暮らす高齢者,高齢の施設入所者,脊椎損傷患者,正しい位置でのカテーテル留置患者,腎移植後>2カ月の患者)のほとんどで,ASB治療が症候性感染を予防することは示されていない.
  • 膿尿(尿中に白血球)はASB患者で非常に多くみられるが,治療の適応とはならない
  • スクリーニングと治療が推奨されるのは以下の患者のみ:
  • 妊婦:妊娠12~16週で尿培養でのスクリーニングを行い,高リスク女性(尿路感染症再発の既往,糖尿病)でASBなら再スクリーニングを検討する
  • 侵襲的泌尿器科処置を受けている患者
  • ASBを頻回に発症する患者(糖尿病,ICU,カテーテル留置,高齢など)で感染の臨床所見や症状が現れた場合は,まず感染の他の原因を検討し,尿検査を中止しないこと.

病原体

  • 好気性グラム陰性桿菌

第一選択

  • ほとんどの患者ではASB治療の臨床的有用性は示されていないため,治療は推奨されない.
  • ASB治療が推奨されるのは,妊婦および侵襲的泌尿器科処置を受けている患者だけである.ASBが確認された場合は抗菌薬感受性に基づき治療を行いうる.尿路感染症(成人女性)の項を参照.
  • 妊婦では,ASB消失を確認することが推奨される.

第二選択

  • なし

コメント

  • 成人における無症候性細菌尿スクリーニングに関する米国予防サービス特別委員会の推奨:JAMA 322: 1188, 2019
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2019/11/07