日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

Vibrio cholerae  (2024/01/09 更新)
急性の重症水性下痢,コレラ,V. choleraeによる胃腸炎


臨床状況

  • 胃腸炎,急性の重症水性下痢,あるいは急速な脱水状態を引き起こし,死亡率は50~75%に達しうる.
  • コレラに対する抗菌薬治療は重症脱水症状患者または脱水症状は中等度だが大量の水分喪失が進行中の患者にのみ推奨される.
  • 治療により,罹病期間が短縮し,体液喪失,頻回の排泄が抑えられる.
  • アフリカ,東南アジア,インド亜大陸,ハイチの50カ国で流行.

分類

  • グラム陰性桿菌(コンマ型)

第一選択

  • 初期治療は補液
  • 静注による補液を必要とする患者には乳酸リンゲル液を使用:患者が液体の経口接種ができるようになり次第,食塩水による経口補液を開始する.
  • 経口補液用食塩は市販されており,飲用水で溶解して用いる.入手できなければ飲用水1Lに食塩小さじ1/2および砂糖小さじ6杯を溶かしたもので代用できる.
  • 抗菌薬治療:地域施設の感受性データに基づいて薬剤を選択
成人,年齢≧12歳の小児,妊婦
  • DOXY 300mg経口1回
  • AZM 1g経口1回
小児,年齢<12歳
  • DOXY 2~4mg/kg1回
  • AZM 20mg/kg(最大1g)経口1回

第二選択

  • 補液,上記と同様
  • 成人,年齢≧12歳の小児,妊婦
  • EM 500mg経口1日4回・3日
  • 年齢<12歳の小児
  • CPFX 20mg/kg(最大1g)経口1回
  • EM 12.5mg/kg(最大500mg)経口1日4回・3日

予防

  • ワクチンの適応,使用可能な製剤,用量,曝露前予防に関するワクチンの特徴については,コレラワクチンを参照.

コメント

  • ナリジクス酸耐性株に対するCPFXの効果は低い.
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2024/01/08