日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

Streptococcus 属 viridansグループ  (2024/09/17 更新)


臨床状況

  • 口腔内,消化管,膣内常在菌.
  • 多くみられる臨床症状は,感染性心内膜炎,脳膿瘍,膿胸および好中球減少時の敗血症(粘膜炎と関連)である.
  • Streptococcus anginosusグループは,膿瘍(たとえば脳および肝)に多く関連する.
  • 好中球減少症患者では,これらのStreptococcus種は菌血症または好中球減少性腸炎(虫垂を含む場合はしばしば虫垂炎とよばれる)を引き起こす.

分類

  • グラム陽性レンサ球菌
  • S. mitis
  • S. sanguis
  • S. mutans
  • S. anginosusグループ
  • S. anginosus
  • S. constellatus
  • S. intermedius
  • S. gordonii
  • S. parasanguinis
  • S. sanguinis
  • S. thermophilus

第一選択

  • 好ましい薬剤としては,ペニシリン,CTRXVCM
  • 好中球減少症患者における,Streptococcus属viridansグループの菌血症:
  • 経験的治療
  • VCM 15mg/kg静注12時間ごと(ペニシリン耐性が多い)
  • in vitroでの感受性が確認されれば,βラクタム系薬(たとえばペニシリンまたはCTRX)へのde-escalationが可能.
  • 14日治療

第二選択

  • CLDM(in vitroでの感受性が確認されれば)

抗微生物薬適正使用

  • 治療期間は最低14日で,好中球減少症が回復するまで続ける.
  • 抗菌薬選択において考慮すべきこと:
  • Streptococcus属viridansグループは,ほとんどのペニシリン系薬,セファロスポリン系薬,カルバペネム系薬,βラクタム薬/βラクタマーゼ阻害薬合剤,LZDに感受性.これらは経験的治療の薬剤としては適切だが,特異的治療としては,分離株が耐性でないかぎりペニシリン系薬,第一世代セファロスポリン系薬,CTRXが望ましい.
  • 好中球減少症患者におけるStreptococcus属viridansグループによる菌血症では,βラクタム耐性率が高いため,βラクタム系薬は経験的治療としては推奨されない(BMC Infect Dis 13: 273, 2013).
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2024/09/17