日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

感染性心内膜炎-Viridans Streptococci  (2024/12/17 更新)
viridans streptococciによる心内膜炎の特異的治療,S. gallolyticusS. bovis


臨床状況

  • viridans streptococciおよびS. gallolyticusによる心内膜炎
  • 心内膜炎の所見および症状:血液培養または弁組織培養陽性
  • 感受性試験の結果が出ている場合:治療選択はMICの結果に基づく

病原体

  • viridans streptococci
  • S. gallolyticus(旧名S. bovis

第一選択

PCGのMIC≦0.12μg/mL
  • 自己弁の場合
  • PCG 1200~1800万単位/日静注4時間ごとに分割・4週
  • CTRX 2g静注24時間ごと・4週
  • 人工弁の場合
  • 上記のうちのひとつを6週投与
PCGのMIC>0.12~<0.5μg/mL
  • 自己弁の場合
  • CTRXのMIC≦0.5μg/mL(EUCASTブレイクポイント.コメント参照)なら,CTRX 2g静注24時間ごと・4週
  • PCG 2400万単位/日静注4時間ごとに分割・4週+GM 3mg/kg静注24時間ごと・最初の2週
  • CTRX 2g静注24時間ごと・4週+GM 3mg/kg静注24時間ごと・最初の2週
  • 人工弁の場合:
  • PCG 2400万単位/日静注4時間ごとに分割・6週+GM 3mg/kg静注24時間ごと≧2週
  • CTRX 2g静注24時間ごと・6週+GM 3mg/kg静注24時間ごと≧2週
  • 注:アメリカ心臓協会(AHA)ガイドラインはGM6週を,欧州心臓病学会のガイドラインは最低2週を推奨している
PCGのMIC≧0.5μg/mL 
  • 自己弁の場合
  • PCG 2400万単位/24時間静注・4時間ごとに分割・4週+GM 3mg/kg静注24時間ごと・2週
  • CTRX MIC≦0.5μg/mL(EUCASTブレイクポイント.コメント参照)なら,CTRX 2g静注24時間ごと・4週+GM 3mg/kg静注24時間ごと・2週
  • 人工弁の場合は,上記処方のうちのひとつを6週投与
  • 注:アメリカ心臓協会(AHA)ガイドラインはGM 6週を,欧州心臓病学協会のガイドラインは最低2週を推奨している

第二選択

PCGのMIC≦0.12μg/mL
  • βラクタムに不耐またはアレルギーの患者にはVCM 15mg/kg静注12時間ごと
  • 自己弁では4週,人工弁では6週投与
  • 自己弁のみ,合併症なし(コメント参照)
  • PCG 1200~1800万単位/日静注4時間ごとに分割・2週+GM 3mg/kg静注24時間ごと・2週
  • CTRX 2g静注24時間ごと・2週+GM 3mg/kg静注24時間ごと・2週
PCGのMIC>0.12~<0.5μg/mL
  • βラクタムに不耐またはアレルギーで,GM毒性リスクが存在する患者にはVCM 15mg/kg静注12時間ごと
  • 自己弁では4週,人工弁では6週投与
PCGのMIC≧0.5μg/mL
  • βラクタムに不耐またはアレルギーで,GM毒性リスクが存在する患者にはVCM 15mg/kg静注12時間ごと
  • 自己弁では4週,人工弁では6週投与

抗微生物薬適正使用

  • 感染症専門医へのコンサルテーションが推奨される.
  • 感染した弁膜が除去され,弁膜からの培養が陰性であれば,手術後の抗菌薬治療は2週間で十分(Clin Infect Dis 41: 187, 2005).

コメント

  • CLSIブレイクポイントではCTRXは≦1.0μg/mLで感受性だが,EUCASTのブレイクポイントは≦0.5μg/mL.EUCASTのほうが保守的であり,編者らは,ペニシリンMIC>0.12μg/mLのviridans streptococciまたはS. gallolyticusに対する,CTRXの有効性とMICとの関連データがほとんどない現状では,こちらのほうが望ましいと考える.
  • viridans streptococciまたはS. gallolyicus感染でペニシリンMIC≦0.12μg/mLならば,多くの場合4週治療が好ましい.次のような患者では2週治療は避ける:年齢>65歳,心内または心外膿瘍がある,CrCl<50mL/分,第8脳神経機能障害,Abiotrophia属,Granulicatella属,Gemella属感染.
  • S. gallolyticusは潜在的な消化管病変を示唆する:
  • 他の細菌,たとえばBacteroides属,Clostridium属,Fusobacterium属による菌血症を伴い,直腸癌が潜在するリスクが高い(Gastroenterology 155: 383, 2018).
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2024/12/16