日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

Kingella kingae  (2025/09/09 更新)


臨床状況

  • 以下の鑑別診断を考慮すること:
  • 血行性骨髄炎
  • 菌血症
  • 感染性心内膜炎:心内膜炎の原因菌である緩徐な発育をする培養困難なグラム陰性菌で,HACEKの1つ(Microorganisms 12: 164, 2024).
  • 治療:
  • in vitroでセファロスポリン系,アミノグリコシド系,ST,テトラサイクリン系,フルオロキノロン系に感受性,ST,AMPCには70~80%が感受性
  • 小児ではセファロスポリン系による治療が好ましい.
  • VCM,CLDM,Oxacillin,Nafcillinには耐性が予想される.

診断/分類

診断
  • 血液寒天培地またはチョコレート寒天培地での培養による.増殖は遅い.PCRと比較すると,多くの検査施設で滑液では偽陰性となる.
  • 滑液および骨生検ではPCRの方が感度が高い
分類
  • グラム陰性球桿菌

第一選択

  • Kingella kingaeによる小児の化膿性関節炎や骨髄炎に対しては,CEZまたはCTRXが望ましい
  • PCRによるKingella kingae診断検査は利用できないことがある.CEZは,MRSA,A群StreptococcusH. infeluenzaeに活性があるため,生後6~48ヵ月の小児の化膿性関節炎や骨髄炎でMRSAの可能性が低い場合の経験的選択肢としては合理的である.
  • 化膿性関節炎または血行性骨髄炎の年少小児が,MRSAを想定した経験的治療(たとえばVCM)に反応しない場合は,CEZまたはCTRXを経験的に,あるいは培養結果を待つ間に追加するのは合理的である.
  • 現在では米国小児科学会は,DOXYは21日治療までは安全としている.

第二選択

  • 4歳未満の小児でβラクタム系にアレルギーの場合には,STまたはLVFXを考慮すること.
  • 心内膜炎の成人患者でβラクタム系にアレルギーの場合には,in vitroの感受性試験に基づき,LVFXによる治療を考慮してもよい.

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2025/09/08