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日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版
ホイップル病
(
2023/06/13 更新
)
ホイップル病:心内膜炎,髄膜炎,腸感染
臨床状況
小腸の感染症,中枢神経(CNS)感染,心内膜炎:ホイップル病.
多臓器性の慢性感染性疾患となることもある.
棒状の細胞内細菌である
Tropheryma whipplei
により引き起こされる(
N Engl J Med 356: 55, 2007
;
Lancet Infect Dis 8: 179, 2008
).
In vitro:
細胞内寄生菌に対するCTRX MICは高い(
Antimicrob Agents Chemother 48: 747, 2004
).
Trimethoprimは活性なし:Trimethoprimの標的であるジヒドロ葉酸還元酵素が存在しないため.
スルホンアミドに対する獲得耐性とSTによる治療失敗の報告がある(
Int J Antimicrob Agents 43: 383, 2014
).
DOXY+Hydroxychloroquineはin vitroで殺菌的(
Antimicrob Agents Chemother 48: 747, 2004
).
臨床:
ST治療を受けた患者での獲得耐性と再発についての報告が35件ある.
フランスではST治療の失敗率が高い(
J Antimicrob Chemother 69: 219, 2014
).
感染と再発を起こしやすい遺伝性素因に関するエビデンスがあるため,一部の専門家は生涯にわたる抑制治療を推奨している.
病原体
Tropheryma whipplei
第一選択
DOXY
100mg経口1日2回+
ヒドロキシクロロキン
200mg経口1日3回・12カ月,その後
DOXY
による長期抑制(できれば生涯)(
J Infect Dis 69: 219, 2014
;
Curr Opin Infect Dis 31: 463, 2018
)
免疫再構築症候群(IRIS)によって治療が難しくなることがある.ステロイドあるいはサリドマイドによるIRIS治療の成功例(
Ann Internal Med 153: 710, 2010
;
J Infect 60: 79, 2010
).
第二選択
CTRX
2g静注1日1回・14日,その後ST 800/160mg1日2回・1~2年(
Clin Micro Rev 30: 529, 2017
)
MEPM
1g静注8時間ごと・14日,その後
ST
800/160mg経口1日2回(他の選択肢は
DOXY
100mg経口1日2回+
ヒドロキシクロロキン
200mg経口1日3回)・最低1年(
Lancet Infect Dis 16: e13, 2016
)
CTRXとMEPMはどちらも14日の初期静注治療(その後STを1年)で有効であることが,ホイップル病を対象とした非盲検試験で示された(
Gastroenterol 138: 478, 2010
).
コメント
ST耐性による晩期再発が報告されている(
J Antimicrob Chemother 65: 2005, 2010
).
フランスのグループは,初期治療後にDOXYによる生涯の抑制治療を検討することを推奨している(
J Infect 69: 103, 2014
).
CNS感染に対しては静注治療を4週まで延長することもある.
神経学的所見がなく腸疾患のある患者の髄液から培養された報告がある(
J Infect Dis 188: 797, 2003
;
J Infect Dis 188: 801, 2003
).
治療抵抗性CNS感染に対して,Chloroquine+MINOでの治療が成功したとの症例報告がある.
Tropheryma
による感染性心内膜炎の報告(
Emerg Infect Dis 19: 1721, 2013
).
総説:
Clin Micro Rev 30: 529, 2017
;
Curr Opin Infect Dis 31: 463, 2018
.
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2023/06/12