日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

尿道炎,子宮頸管炎:Chlamydia  (2022/11/8 更新)
Chlamydia,非淋菌性または淋菌後尿道炎,子宮頸管炎


臨床状況

  • Chlamydia,非淋菌性または淋菌後尿道炎,子宮頸管炎.
  • セックスパートナーを検査,治療すること(治療が完了するまでセックスを控えるよう指導する)
  • 妊婦では治癒の再検査を行う.
  • クラミジア直腸炎についてはコメント参照.

病原体/診断

病原体
  • Mycoplasma hominis
  • 他に病原体として知られているもの(10~15%):
トリコモナス
  • Ureaplasma urealyticum(議論がある)

診断
  • 尿,尿道スワブ,子宮頸管スワブによるC. trachomatisおよびN. gonorrhoeaeの核酸増幅検査.

第一選択

  • DOXY 100mg経口1日2回・7日
  • 妊婦:AZM 1g経口1回

第二選択

  • AZM 500mg経口1回,その後250mg経口4日(尿道炎に対して)
  • AZM 1g経口1回(子宮頸管炎または尿道炎に対して).1回投与処方は耐性M. genitaliumを選択する可能性が高いというエビデンスがある.

抗微生物薬適正使用

  • M. genitaliumは非淋菌性尿道炎,子宮頸管炎,骨盤内炎症性疾患の30%に関連し(Clin Infect Dis 56: 934, 2013),治療失敗の原因となる可能性がある:デンマークでの調査では,性感染症クリニックで検査されたM. genitalium陽性患者のうち,約40%がマクロライド耐性であった(Clin Infect Dis 59: 24, 2014).世界的に耐性株,特にフルオロキノロン系薬耐性が増加している.2021年CDC性感染症ガイドラインの新しい2段階治療の説明を参照.
  • マクロライド系薬による治療も,他の呼吸器および消化器常在菌の耐性増加に関連している.

コメント

  • 妊婦
  • すべての妊婦で,出産前の初診時にChlamydia感染のスクリーニングを行う.
  • DOXYとフルオロキノロンは妊婦には禁忌.
  • Chlamydia trachomatisに対する治療が奏効しない場合,以下が考えられる:
  • Trichomonas vaginalis
  • M. genitalium
  • 単純ヘルペスウイルス
  • すべてのChlamydia感染患者に対しHIV検査を行う.
  • クラミジア直腸炎:
  • 有病率は6%だが,腟内Chlamydiaのある女性では68%に存在する.
  • コホート研究では,微生物学的奏効はAZM1回投与で78.5%,DOXY1日2回・7日では95.5%だった(Sex Transm Dis 41: 79, 2014).
  • クラミジア直腸炎の男性同性愛者を対象としたランダム化比較試験では,DOXY 100mg1日2回はAZMよりも優れていた(微生物学的治癒率:100%対74%)(Clin Infect Dis 73: 824, 2021).
  • 圧倒的多数のエビデンスは,クラミジア直腸炎および男性の尿路性器症状に対してDOXYの方がより有効であることを示している:Clin Infect Dis 74: S112, 2022
  • 性病性リンパ肉芽腫(LGV)に対してはDOXYによる3週治療を行うこと.
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2022/11/07