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日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版
毒素性ショック症候群(TSS),
Clostridium
sordelli
(
2024/05/07 更新
)
臨床状況
Clostridium sordellii
(現在の名称は
Paeniclostridium sordellii
)
の毒素による特徴的な症候群.
Staphylococcus
属によるTSS
,
Streptococcus
属によるTSS
とは異なる.
ショックの他に次の症状を示す:
血液濃縮-ヘモグロビン/ヘマトクリット高値として現れる
激しい毛細血管漏出-大量輸液を要する
白血球数>5万/μLの白血病様反応
無熱
優れた総説:
Clin Infect Dis 43: 1436, 2006
;
Clin Infect Dis 43: 1447, 2006
.
注意:
Clostridium perfringens
とは異なり,ガス産生はない.
血清カルシウム濃度が著明に低いことがある-機序は不明.
嫌気性環境を生み出す状況が背景にある:
違法薬物注射による組織損傷/壊死性筋膜炎(ブラックタールヘロインの麻薬注射:
Clin Infect Dis 38: e87, 2004
),
出産後子宮内膜炎,Mifepristone+ミソプロストールによる人工妊娠中絶,子宮内器具(IUD),およびその他の臨床状況.
粘膜破壊を伴う消化管悪性疾患が隠れている
毛細血管内皮を標的とする致命的で出血性の細菌毒素による組織損傷.
病原体
Clostridium sordellii
(現在の名称は
Paeniclostridium sordellii
)
第一選択
輸液+水性
PCG
1800~2000万単位/日・4~6時間ごとに分割+
CLDM
900mg静注8時間ごと(毒素産生の抑制が期待される)
最大の課題は早期発見であり,次に毒素産生菌の温床である壊死組織を速やかに除去することである.
市販の抗毒素製剤はない
第二選択
幅広い抗菌薬に対し感受性あり:セファロスポリン系,ペニシリン系(AZTには感受性なし),カルバペネム系,テトラサイクリン系,
CP
.
抗微生物薬適正使用
アミノグリコシド系とスルホンアミド系には耐性.
コメント
Mifepristone(RU486)およびミソプロストールによる人工中絶後死亡の報告が数例ある.
2001~2006年の標準的な薬物中絶法は,経口Mifepristone,その後ミソプロストール膣剤†だった.2006年以降はミソプロストールが膣剤†から口腔錠†への切り替え+ルーチンの抗菌薬治療により,中絶後の
Clostridium
による毒素性ショック症候群(TSS)は劇的に減少している:
N Engl J Med 361: 145, 2009
.
>5万/μLの白血病様反応があると,致死率はほぼ100%.
(†:日本にない剤形)
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2024/05/03