日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

サイトメガロウイルス-肺炎  (2022/11/1 更新)


臨床状況

  • サイトメガロウイルス(CMV)肺炎は,臨床的なCMV疾患の合併症で,まれな疾患だが生命の危険を伴う.固形臓器移植および造血幹細胞移植のレシピエントで最も多いが,他の免疫不全者にも起こることがある.
  • 胸部CTですりガラス状陰影がみられることが多いが,散在性結節や浸潤影がみられることもある.

診断/病原体

診断
  • 診断は古典的画像所見と血清CMV PCR高値または高リスク宿主での抗原血症の組み合わせでなされる.
  • ゴールドスタンダード:肺生検での組織学標本におけるCMVのエビデンス.
  • 気管支鏡からのCMV培養は非特異的であり,肺炎のない免疫不全患者では陽性になることがある.
病原体
  • サイトメガロウイルス(CMV)

第一選択

第二選択

  • IVIGまたはCMV免疫グロブリン(補助治療として.コメント参照)

抗微生物薬適正使用

  • 治療期間は個々の状況による.次の条件が満たされるまで治療を続けること:(1)CMV PCRまたはアンチゲネミアが検出されなくなる,(2)臨床症状が消失する,(3)3週間以上治療(多くは3~6週).

コメント

  • CMV免疫グロブリンは,肺臓炎のような生命の危険のある疾患の場合の補助治療と考えられる.HCTレシピエントでのIVIg(Ann Intern Med 109: 777, 1988)およびCMV高力価免疫グロブリン(Ann Intern Med 109: 783, 1988)の有用性を示唆するレトロスペクティブデータがあり,多くの専門家は特にHCTレシピエントでこの治療を追加することを推奨している(Blood 113: 5711, 2009).一方で,25年間における421例に対するレトロスペクティブなレビューでは,全死亡率およびCMV死亡率に対する効果は示されなかった(Clin Infect Dis 61: 31, 2015).
  • レテルモビルは,同種異系造血幹細胞移植(HSCT)で,CMV血清陽性の成人レシピエントの予防に用いられる.
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2022/10/27