日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

肺炎-市中感染,COPD  (2018/3/6 更新)
入院患者


臨床状況

  • 慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者が市中肺炎で入院した場合の経験的治療.

病原体

  • S. pneumoniae
  • H. influenzae
  • Moraxella
  • Legionella
  • S. aureus(まれ)

第一選択

  • LVFX 750mg静注24時間ごと,またはMFLX 400mg静注†24時間ごと

(†:日本にない剤形)

第二選択

  • CTRX 1~2g静注24時間ごと+AZM 500mg静注24時間ごと,または
  • Ertapenem 1g静注24時間ごと+AZM 500mg静注24時間ごと

抗微生物薬適正使用

  • 無熱が48時間以上続き,以下のうちの1つまでしか認められない場合は,5日後に抗菌薬を中止しても安全:収縮期血圧<90mmHg,心拍数>100/分,呼吸数>24/分,動脈血酸素飽和度<90%,室温PaO2<60mmHg(JAMA Intern Med 176: 1257, 2016).
  • P. aeruginosaが疑われる場合はErtapenemを使用しない.

コメント

  • Legionella pneumophila のうち抗原検査で検出可能なのは血清群1だけである.Legionellaが疑われるが尿抗原検査が陰性の場合は,培養を行うか,気道分泌物の属特異的PCRを行う
  • 年齢65歳以上のCOPD患者には肺炎球菌ワクチンが推奨される.推奨は最終的により若い患者にも適用される可能性があるが,現時点ではデータがない:
  • PCV13=蛋白結合ワクチン;PPSV=23価肺炎球菌ポリサッカライドワクチン
  • 肺炎球菌ワクチン接種歴がない場合:PCV13を接種後,6~12ヵ月あけてPPSVを接種する.
  • 65歳以降にPPSVを接種された患者では,1年以上あけてPCV13を接種する.続いてPPSV接種の必要があるかは不明.
  • 65歳の1年以上前にPPSVを接種された患者では,PCV13を接種し,6~12カ月あけてPPSVを接種する.
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2018/03/01