日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

壊死性筋膜炎-Clostridium   (2023/08/01 更新)


臨床状況

  • Clostridium属による壊死性筋膜炎は,通常外傷や外科手術に伴うClostridium芽胞による汚染が先行し,酸素圧が低いと壊死性筋膜炎に発展する(皮膚,皮下脂肪および筋膜面.筋壊死(ガス壊疽)に関連することもある).
  • Clostridium属の芽胞は“ブラックタール"ヘロインに混合される物質(たとえば"dirt")中に混入することがある.Clostridium botulinumではボツリヌス症,Clostridium perfringenssordelliinovyiでは壊死性筋膜炎が引き起こされる(Clin Infect Dis 61: 1840, 2015).
  • Clostridium septicumは,しばしば潜行性の消化器悪性疾患を含む非外傷性のガス壊疽の原因となる.
  • 典型的には病変部位でガスが発生する.
  • 診断は壊死組織のグラム染色により容易に確定できる.

病原体

  • Clostridium
  • Clostridium perfringens(最も多い)
  • Clostridium septicum(汚染された筋骨格同種移植,潜行性の消化器悪性疾患)
  • Clostridium tertium(特発性の筋膜炎/筋壊死の報告)
  • Clostridium sordellii(出産後,および人工中絶などの婦人科的処置後)

第一選択

  • 早期に診断を確定するために切開(好気および嫌気性培養を含む)を行い,感染の広がりを確認し,すべての壊死組織を切除する.
  • PCG 300~400万単位静注4時間ごと+CLDM 900mg静注8時間ごと(毒素産生をブロックする)

第二選択

  • ペニシリン,MNZ に対するC. tertium の感受性については,現在までの研究報告ではさまざまである:通常はCLDMと第3世代セファロスポリン系に耐性:VCM,IPM/CS,MEPMはin vitroでの活性が予測される.

コメント

  • X線,CTスキャンにより病変組織でのガスが認められる.
  • 緊急外科的デブリドマンと抗菌薬が治療の中心.
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2023/07/31