日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

髄膜炎-L. monocytogenes  (2025/11/25 更新)
L. monocytogenesによる髄膜炎の特異的治療


臨床状況

  • 先行する抗菌薬治療がない場合には,約3/4の症例で髄液培養L. monocytogenes陽性,先行する抗菌薬治療がある場合には陽性率は低い.
  • グラム染色(約30%が陽性)で小さく,ときとして多型のグラム陽性桿菌.
  • リスク因子:年齢>65歳または生後<30日,妊娠,アルコール依存,肝硬変,免疫不全患者.
  • 他の細菌によるものよりも症状は急性でないことが多い.

病原体

第一選択

  • 成人:ABPC 2g静注4時間ごと(GM使用についてはコメント参照)
  • 小児:ABPC 300~400mg/kg/日6時間ごとに分割,または ST 20mg/kg/日(トリメトプリムの成分に基づく)6~12時間ごとに分割(GM使用についてはコメント参照)

第二選択

  • 重症ペニシリンアレルギー
  • ST 20mg/kg/日(トリメトプリムの成分に基づく)6~12時間ごとに分割

治療期間

  • 髄膜炎では3週
  • 脳炎または脳膿瘍では4~6週.

コメント

  • ABPC/GM併用治療が一般に推奨されているが,この推奨を支持するデータは貧弱であり,まったくのin vitroデータおよび動物実験によるものである.至適用量(そんなものがあるとしてだが)は確立されておらず,小規模症例シリーズで有効性が報告されているABPC単独にくらべ,併用治療でより良い結果が得られたとする臨床データはない.GMによる腎毒性および聴器毒性(不可逆性のこともある)のリスク(特に高用量で)があること,有用性が証明されていないことから,GM併用治療はルーチンには推奨されない.
  • デキサメタゾンの補助療法の役割は不明.2006年1月1日~2022年7月1日の162名の患者を対象としたオランダの単一前向き研究では,デキサメタゾンの補助療法がL. monocytogenes髄膜炎の患者162名における転帰の改善と関連していることが示された(EClinicalMedicine 58: 101922, 2023).
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2025/11/25