日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

髄膜炎-L. monocytogenes  (2023/06/27 更新)
L. monocytogenesによる髄膜炎の特異的治療


臨床状況

  • 髄液培養でL. monocytogenes陽性.
  • グラム染色(約30%が陽性)で小さく,ときとして多型のグラム陽性桿菌.
  • リスク因子:年齢>65歳または生後<30日,妊娠,アルコール依存,肝硬変,免疫不全患者.
  • 他の細菌によるものよりも症状は急性でないことが多い.

病原体

第一選択

  • 成人:ABPC 2g静注4時間ごと(GM使用についてはコメント参照)
  • 乳児:ABPC 300~400mg/kg/日6時間ごとに分割,または ST 20mg/kg/日(トリメトプリムの成分に基づく)6~12時間ごとに分割(GM使用についてはコメント参照)

第二選択

  • ST 20mg/kg/日(トリメトプリムの成分に基づく)6~12時間ごとに分割
  • MEPM 2g静注8時間ごと

コメント

  • ABPC/GM併用治療が一般に推奨されているが,この推奨を支持するデータは貧弱であり,まったくのin vitroデータおよび動物実験によるものである.至適用量(そんなものがあるとしてだが)は確立されておらず,小規模症例シリーズで有効性が報告されているABPC単独にくらべ,併用治療でより良い結果が得られたとする臨床データはない.GMによる腎毒性および聴器毒性(不可逆性のこともある)のリスク(特に高用量で)があること,有用性が証明されていないことから,GM併用治療はルーチンには推奨されない.
  • 髄膜炎の治療期間は3週,脳炎または脳膿瘍では4~6週.
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2023/06/26