日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

マラリア-合併症なし-Plasmodium malariaeP. knowlesi  (2026/08/04 更新)
マラリア,合併症のないP. ovale, P.malariae, P. knowlesiの治療


臨床状況

  • P. malariaeP. knowlesiによるマラリアで,合併症のない場合の治療
  • 米国では通常の旅行者のマラリアはまれ.P. malariaeP. knowlesiによるマラリアは,米国では3種類あわせても5%以下
  • 多くの症例は移民,友人や親類に会うために帰郷した移民,流行地への一時的滞在を延長しているにもかかわらず長期の予防を遵守していない例である.
  • 複数のPlasmodium種による重複感染の可能性もある.
  • 合併症のないマラリアに対しては,米国CDCは経口ACT,アルテメテル・ルメファントリンを,Chloroquine感受性が不確かでない限り,すべてのマラリア種に対して第一選択として推奨している.
  • P. falciparumがChloroquine感性であることはまれ.
  • 他の種がChloroquine耐性であることは少ない
  • WHO強化ガイドラインGRADEでは,成人および小児におけるP. vivaxP. ovaleP. malariaeP. knowlesiによる合併症のないマラリアに対しては経口ACT(妊娠第1期を含むすべての妊婦も対象)が望ましいと推奨している
  • しかしACTを用いるべき例でChloroquine耐性が確認された場合以外には,WHOは現在でもChloroquineを選択肢としている

診断/病原体

診断
  • マラリア迅速診断検査が承認されている:BinaxNOW.今後多くの医療施設で迅速診断検査のみが行われ,血液塗抹検査は行われなくなるだろう.
  • 通常のケースである低度の非falciparum寄生虫血症については感度50%
  • 特異度は高い:陽性例を治療する
  • 種の決定には顕微鏡検査が必要
  • 治療が奏功しても1ヵ月以上は陽性が続くことがある
  • 血液フィルムは,適切な訓練を受けた検査者が評価しなければならない.
  • マラリア診断が除外されうる以前に,血液塗抹は12~24時間ごとに繰り返し,全3セットを行わなければならない.
  • 寄生虫の有性生殖段階である配偶子母体は,症状を引き起こさず,多くの抗マラリア薬の標的でもないため,寄生虫血症の算出や寄生虫の消失・陰性化の判定に含めるべきではない.
  • 民間の検査会社からのPCRが利用可能であり,ゴールドスタンダードである.
  • 血清検査は限られた価値しかない.
病原体
  • P. malariae
  • P. knowlesi(サルのマラリアでヒトに感染することがある)

第一選択

CDCマラリア治療表2026も参照
  • 治療選択肢はすべてP. malariaeまたはP. knowlesiまん延地域で感染した場合のもの
  • Chloroquineおよびヒドロキシクロロキンは,P. malariae単独感染が確認された場合にのみ使用すべきである.この種は塗抹ではP. falciparumと混同されることがあるため,確認は理想的にはPCRによるべきである.
  • 慎重なアプローチを考慮する:いずれかの種に対してChloroquine耐性が広範に認められている地域で曝露した患者はない
  • 成人
  • Chloroquine 1g(600mg塩基)経口,その後6,24,48時間後に0.5.総投与量2500mg(全コース500mg錠×5)
  • ヒドロキシクロロキン 800mg塩(620mg塩基)経口,その後400mg塩(=310mg塩基)経口6,24,48時間後.合計2000mg塩(=1550mg塩基)
  • 第1日:初回投与,8時間後に第2回投与;第2,3日:1日2回投与
  • 成人用量:4錠(20mg/120mg錠)/回(高脂質食または乳製品飲料とともに服用)
  • 成人用量:4成人用錠(250mg/100mg錠)経口1日1回(高脂質食または乳製品飲料とともに服用):患者が30分以内に嘔吐した場合は投与を繰り返す
  • 小児
  • Chloroquine 10mg/kg塩基(12.9塩/kg)経口,その後5mg/kg塩基6,24,48時間後.合計25mg/kg塩基(成人用量を超えないこと)
  • 第1日:初回投与,8時間後に第2回投与;第2,3日1日2回投与
  • 小児用量:体重5~<15kg:1錠/回;15~<25kg:2錠/回;25~<35kg:3錠/回;≧35kg:4錠/回
  • アトバコン・プログアニル
      3日コース
  • 小児用量(62.5mg/25mg錠):体重5~<8kg:2小児用錠経口1日1回;8~<10kg:3小児用錠経口1日1回;10~<20kg:1成人用錠経口1日1回;20~<30kg:2成人用錠経口1日1回;30~<40kg:3成人用錠経口1日1回;≧40kg:成人用量
  • 妊婦
  • アルテメテル・ルメファントリン(全妊娠期)用量は,上記妊婦以外と同じ

第二選択

  • なし

治療期間

  • 薬剤によっては3日コース

コメント

  • ある薬剤での化学予防が失敗した場合には,同じ薬剤の使用は避ける
  • 米国でのACT:アルテメテル・ルメファントリンがFDAの承認した唯一のACTである.
  • Coartem(アルテメテル・ルメファントリン)は,米国の病院や小売薬局のどこでも在庫があるわけではない.
  • 通常は,地域の薬物物流倉庫に在庫があり,緊急の場合でも治療開始から入手は24時間遅れる.
  • 他の第一選択薬が容易に入手できる場合は,Coartem(アルテメテル・ルメファントリン)を入手するために治療開始を遅らせてはならない.
  • 迅速に入手するための情報は,1855-COARTEMに連絡.
  • FDAはP. malariaeP. knowlesiに対するACTを承認していない.
  • ACT治療薬であるDihydroartemisinin/Piperaquineはヨーロッパで承認され入手可能となっている.
  • WHOが推奨する追加的ACTにはArtesunate/メフロキン,Artesunate/Amodiaquine,Artesunate+Sulfadoxine/Pyrimethamine(Fansidar)があり,地域によっては使用可能.
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2026/08/03