日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

アルテメテル・ルメファントリン  (2025/08/19 更新)
主な商品名:リアメット配合錠

「サンフォード感染症治療ガイド」の中で推奨されている薬剤の適応および用量は,日本で認可されているものとは異なっている場合がありますので,薬剤選択を考慮する場合には,必ず日本での添付文書および最新安全性情報に基づいて行って下さい.
日本の添付文書情報検索サイト

Contents

1. 用法および用量
  1. 使用
  2. 成人用量
  3. 小児用量
  4. 腎障害時の用量調整
  5. その他の用量調整
2. 副作用/妊娠時のリスク
3. 抗微生物スペクトラム
4. 薬理学
5. 酵素・トランスポーター媒介相互作用
6. 主要な薬物相互作用
7. コメント

1. 用法および用量

 1. 使用

 2. 成人用量

 3. 小児用量

用量(生後>28日)
分散錠(1:12):
乳児,2~<5kg:5mg/60mg12時間ごと・3日(6回)
錠(1:6):
<2カ月,体重<5kg:推奨されない
体重5kg~<15kg:まず1錠,その8時間後1錠再投与,その後1錠12時間ごと・2日(計6錠)
体重15kg~<25kg:まず2錠,その8時間後2錠再投与,その後2錠12時間ごと・2日(計12錠)
体重25kg~<35kg:まず3錠,その8時間後3錠再投与,その後3錠12時間ごと・2日(計18錠)
体重≧35kg:成人と同じ用量(計24錠)
最大/日

 4. 腎障害時の用量調整

半減期(時間)(腎機能正常)
Art:1.6~2.2
DHA:1.6~2.2
Lum:101~119
半減期(時間)(ESRD)
データなし
用量(腎機能正常)
初回4錠,その8時間後に4錠再投与,その後4錠12時間ごと・2日
腎障害時の用量
用量調整不要
(データは乏しい,慎重に使用)
血液透析
データなし
CAPD
データなし
CRRT
データなし
SLED
データなし

DHA:dihydroartemisinin(アルテメテルの活性代謝物)

 5. その他の用量調整

2. 副作用/妊娠時のリスク

副作用

妊娠時のリスク

1 Recht J et al: Safety of artemisinin and non-artemisinin antimalarials in the first trimester of pregnancy WHO, 2023.

3. 抗微生物スペクトラム

4. 薬理学

PK/PD指標
データなし
剤形
錠剤(Art 20mg,Lum 120mg)
食事に関する推奨(経口薬)1
食事とともに服用
経口吸収率(%)
データなし
Tmax(時間)
Art 1.5~2.0
Lum 6~8
最高血清濃度2(μg/mL)
Art 0.06~0.08(4錠経口,SD)
DHA 0.09~0.1(4錠経口,SD)
Lum 7.4~9.8(4錠経口,SD)
最高尿中濃度(μg/mL)
データなし
蛋白結合(%)
Art 95.4
DHA 47~76
Lum 99.7
分布容積3(Vd)
データなし
平均血清半減期4(T1/2, 時間)
Art 1.6~2.2
DHA 1.6~2.2
Lum 101~119
排泄
Art,DHA,Lum:腎以外
胆汁移行性5(%)
データなし
脳脊髄液/血液6(%)
データなし
治療が可能になるだけの脳脊髄液移行性7
データなし
AUC8(μg・時間/mL)
Art 0.15~0.26(4錠経口,0~inf)
DHA 0.29(4錠経口,0~inf)
Lum 158~243(4錠経口,0~inf)
  1. 注記のない場合は成人用経口製剤
  2. SD:単回投与後,SS:複数回投与後の定常状態
  3. V/F:(Vd)÷(経口生物学的利用能),Vss:定常状態におけるVd,Vss/F:(定常状態におけるVd)÷(経口生物学的利用能)
  4. CrCl>80 mL/分と想定
  5. (胆汁中の最高濃度)÷(血清中の最高濃度)×100
  6. 炎症時における脳脊髄液濃度
  7. 薬剤投与量と微生物の感受性に基づく判定.脳脊髄液濃度は理想ではMICの10倍以上必要
  8. AUC:血中濃度-時間曲線下面積 area under the drug concentration-time curve.0~inf=AUC0-inf,0~x時間=AUC0-x

5. 酵素・トランスポーター媒介相互作用

薬剤が基質となるCYP450
Art:CYP3A4
Lum:CYP3A4
薬剤が基質となるトランスポーター

薬剤が基質となるUGT

薬剤が阻害するCYP450
Lum:CYP2D6
薬剤が阻害するトランスポーター

薬剤が阻害するUGT

薬剤が誘導するCYP450
Art:CYP2B6,CYP2C19,CYP3A4(すべて弱い)
薬剤が誘導するトランスポーター
-  
薬剤が誘導するUGT

血清中薬物濃度への影響
↑または↓

血清中薬物濃度への影響とは,当該抗微生物薬により影響を受ける併用薬の血清中濃度のことをいう.↑:上昇,↓:低下

6. 主要な薬物相互作用

薬剤
濃度への影響(その他の影響)
推奨される対応
アミトリプチリン
アミトリプチリン↑,QT間隔↑
併用を避ける
カルバマゼピン
アルテメテル↓,DHA↓,ルメファントリン↓
禁忌
クラリスロマイシン1
ルメファントリン↑が予測される
併用を避ける
クロミプラミン
クロミプラミン↑,QT間隔↑
併用を避ける
エリスロマイシン1
ルメファントリン↑が予測される
併用を避ける
フレカイニド
フレカイニド↑,QT間隔↑
併用を避ける
フルコナゾール1
ルメファントリン↑がありうる
併用を避ける
ホルモン性避妊薬
効果↓
他の方法を用いる
イミプラミン
イミプラミン↑,QT間隔↑
併用を避ける
イサブコナゾニウム硫酸塩1
ルメファントリン↑がありうる
併用を避ける
ケトコナゾール
アルテメテル↑,DHA↑,ルメファントリン↑
モニター,可能なら避ける
イトラコナゾール1
ルメファントリン↑が予測される
併用を避ける
メフロキン1, 2
ルメファントリン↓がありうる
モニター,食事をとらせる
NNRTI(HIV)
アルテメテル↓↑,DHA↓↑,ルメファントリン↓↑
モニター,可能なら避ける
フェニトイン
アルテメテル↓,DHA↓,ルメファントリン↓
禁忌
ポサコナゾール1
ルメファントリン↑が予測される
併用を避ける
プロテアーゼ阻害薬(HIV)
アルテメテル↓↑,DHA↓↑,ルメファントリン↓↑
モニター,可能なら避ける
リファブチン1
アルテメテル↓,DHA↓,ルメファントリン↓が予測される
慎重に使用,モニター
リファンピシン
アルテメテル↓,DHA↓,ルメファントリン↓
禁忌
Rifapentine1
アルテメテル↓,DHA↓,ルメファントリン↓が予測される
禁忌
セイヨウオトギリソウ
アルテメテル↓,DHA↓,ルメファントリン↓
禁忌
Symfi, Symfi Lo
(EFV/3TC/TDF)
アルテメテル↓,DHA↓,ルメファントリン↓
併用を避ける
ボリコナゾール1
ルメファントリン↑が予測される
併用を避ける
  1. HHS日和見感染臨床ガイドライン(2025年7月14日改訂)
  2. アルテメテル・ルメファントリン治療の直前にメフロキンが使用された場合

7. コメント

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2025/08/19