日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

アルテメテル・ルメファントリン  (2024/11/26 更新)
主な商品名:リアメット配合錠

「サンフォード感染症治療ガイド」の中で推奨されている薬剤の適応および用量は,日本で認可されているものとは異なっている場合がありますので,薬剤選択を考慮する場合には,必ず日本での添付文書および最新安全性情報に基づいて行って下さい.
日本の添付文書情報検索サイト

Contents

1. 用法および用量
  1. 使用
  2. 成人用量
  3. 小児用量
  4. 腎障害時の用量調整
  5. その他の用量調整
2. 副作用/妊娠時のリスク
3. 抗微生物スペクトラム
4. 薬理学
5. 酵素・トランスポーター媒介相互作用
6. 主要な薬物相互作用
7. コメント

1. 用法および用量

 1. 使用

 2. 成人用量

 3. 小児用量

用量(生後>28日)
<2カ月,体重<5kg:推奨されない
体重5kg~<15kg:初回1錠,その8時間後1錠再投与,その後1錠12時間ごと・2日(計6錠)
体重15kg~<25kg:初回2錠,その8時間後2錠再投与,その後2錠12時間ごと・2日(計12錠)
体重25kg~<35kg:初回3錠,その8時間後3錠再投与,その後3錠12時間ごと・2日(計18錠)
体重≧35kg:成人と同じ用量(計24錠)
最大/日

 4. 腎障害時の用量調整

半減期(時間)(腎機能正常)
Art:1.6~2.2
DHA:1.6~2.2
Lum:101~119
半減期(時間)(ESRD)
データなし
用量(腎機能正常)
初回4錠,その8時間後に4錠再投与,その後4錠12時間ごと・2日
CrClまたはeGFR
腎障害時の用量調整不要(データは乏しい,慎重に使用)
血液透析
データなし
CAPD
データなし
CRRT
データなし
SLED
データなし

DHA:dihydroartemisinin(アルテメテルの活性代謝物)

 5. その他の用量調整

2. 副作用/妊娠時のリスク

副作用

妊娠時のリスク

1 Recht J et al: Safety of artemisinin and non-artemisinin antimalarials in the first trimester of pregnancy WHO, 2023.

3. 抗微生物スペクトラム

4. 薬理学

PK/PD指標
データなし
剤形
錠剤(Art 20mg,Lum 120mg)
食事に関する推奨(経口薬)1
食事とともに服用
経口吸収率(%)
データなし
Tmax(時間)
Art 1.5~2.0
Lum 6~8
最高血清濃度2(μg/mL)
Art 0.06~0.08(4錠経口,SD)
DHA 0.09~0.1(4錠経口,SD)
Lum 7.4~9.8(4錠経口,SD)
最高尿中濃度(μg/mL)
データなし
蛋白結合(%)
Art 95.4
DHA 47~76
Lum 99.7
分布容積3(Vd)
データなし
平均血清半減期4(T1/2, 時間)
Art 1.6~2.2
DHA 1.6~2.2
Lum 101~119
排泄
Art,DHA,Lum:腎以外
胆汁移行性5(%)
データなし
脳脊髄液/血液6(%)
データなし
治療が可能になるだけの脳脊髄移行性7
データなし
AUC8(μg・時間/mL)
(4錠経口 SD)
Art 0.15~0.26(4錠経口,0~inf)
DHA 0.29(4錠経口,0~inf)
Lum 158~243(4錠経口,0~inf)
  1. 注記のない場合は成人用経口製剤
  2. SD:単回投与後,SS:複数回投与後の定常状態
  3. V/F:(Vd)÷(経口生物学的利用能),Vss:定常状態におけるVd,Vss/F:(定常状態におけるVd)÷(経口生物学的利用能)
  4. CrCl>80 mL/分と想定
  5. (胆汁中の最高濃度)÷(血清中の最高濃度)×100
  6. 炎症時における脳脊髄液濃度
  7. 薬剤投与量と微生物の感受性に基づく判定.脳脊髄液濃度は理想ではMICの10倍以上必要
  8. AUC:血漿中濃度-時間曲線下面積 area under the drug concentration-time curve.0~inf=AUC0-inf,0~x時間=AUC0-x

5. 酵素・トランスポーター媒介相互作用

CYP450の基質
Art:3A4
Lum:3A4
トランスポーターの基質
  
CYP450の阻害
Lum:2D6
トランスポーターの阻害
  
CYP450誘導
Art:2B6,2C19,3A4(すべて弱い)
トランスポーターの誘導
   
血清中薬物濃度への影響
↑または↓

血清中薬物濃度への影響は,当該抗微生物薬により影響を受ける併用薬の血清中濃度である.↑:上昇,↓:低下,空白:薬物への影響なし

6. 主要な薬物相互作用

薬剤
濃度への影響(その他)
推奨される対応
アミトリプチリン
アミトリプチリン↑,QT間隔↑
併用を避ける
カルバマゼピン
アルテメテル↓,DHA↓,ルメファントリン↓
禁忌
クロミプラミン
クロミプラミン↑,QT間隔↑
併用を避ける
QT間隔延長作用のある薬剤
QT間隔↑
併用を避ける
フレカイニド
フレカイニド↑,QT間隔↑
併用を避ける
ホルモン性避妊薬
効果↓
他の方法を用いる
イミプラミン
イミプラミン↑,QT間隔↑
併用を避ける
ケトコナゾール
アルテメテル↑,DHA↑,ルメファントリン↑
モニター,可能なら避ける
メフロキン(先行して使用)
ルメファントリン↓
モニター,食事をとらせる
NNRTI(HIV)
アルテメテル↓↑,DHA↓↑,ルメファントリン↓↑
モニター,可能なら避ける
フェニトイン
アルテメテル↓,DHA↓,ルメファントリン↓
禁忌
プロテアーゼ阻害薬(HIV)
アルテメテル↓↑,DHA↓↑,ルメファントリン↓↑
モニター,可能なら避ける
リファンピシン
アルテメテル↓,DHA↓,ルメファントリン↓
禁忌
セイヨウオトギリソウ
アルテメテル↓,DHA↓,ルメファントリン↓
禁忌

7. コメント

ライフサイエンス出版株式会社 © 2011-2024 Life Science Publishing↑ page top

2024/11/25