日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

単純ヘルペス-性器  (2022/2/8 更新)
性器ヘルペス,初発,再発


臨床状況

  • 性器ヘルペス感染症:初発,再発
  • 妊婦で考慮すること:
  • 妊娠第1期でもアシクロビルは安全.
  • アシクロビルが出産時の新生児ヘルペスのリスク/重症度を軽減するという証明はない.
  • 一方,活動性病変のある女性では帝王切開により伝播のリスクが減少する.参考文献:Obstet Gynecol 106: 845, 2005
  • 播種のリスクが増大し,重症で致命的でさえある肝炎を引き起こすことがある:N Engl J Med 370: 2211, 2014
  • HIV患者における治療抵抗性の偽腫瘍性肛門性器ヘルペス,2型についてはコメント参照.

病原体

  • 単純ヘルペスウイルス(HSV)1型および2型

第一選択

初発
再発
  • 免疫正常患者
  • 免疫不全患者,HIV患者

第二選択

  • アシクロビル耐性HSV:ホスカルネット 80~120mg/kg/日, 2~3回に分割・7日,またはCidofovir 5mg静注週1回・臨床反応が現れるまで

長期抑制(毎日)
  • 免疫正常患者
  • 再発<9回/年の患者では500mg経口24時間ごと,500mgで再発した場合は1g経口24時間ごとを使用してもよい.
  • 免疫不全患者,HIV患者

コメント

  • アシクロビルは,所見/症状消失までの時間,病変治癒までの時間,ウイルス排出持続期間を,それぞれ2日,4日,7日に短縮.いったん投与を中止すると,再発は予防できない.
  • バラシクロビルは,吸収率を改善したアシクロビルのエステル型で,アシクロビルの3~5倍の生物学的利用能がある.
  • ファムシクロビルは,代謝されると活性成分であるPenciclovirになる.副作用・活性はアシクロビルと同様.ファムシクロビル 250mg経口1日3回はアシクロビル200mg 1日5回と同等.
  • 抑制治療は,再発頻度の高い(再発>6回/年)患者で性器ヘルペスの再発を70~80%減らし,その多くは症状の発症を報告していない.
  • 非定型的・肥大性で,潰瘍または偽腫瘍性の病態がHIV患者で報告されている.
  • CD4数はおそらく正常で,HIVウイルス量は検出不可能.
  • アシクロビル治療は失敗することが多い.
  • ある報告によれば,10例の患者のうち,アシクロビル/バラシクロビル,ホスカルネットまたはCidofovirに反応したのは2例,イミキモドおよび/またはサリドマイドに反応したのは5例であった.
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2022/02/08