日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

蜂窩織炎,丹毒-顔面  (2025/08/26 更新)
成人における顔面丹毒,蜂窩織炎


臨床状況

  • 基礎疾患のない患者で急激に発症,赤く浮腫状で,痛みのある斑様の皮膚病変が顔面に急速に拡がる.
  • S. aureus の顔面丹毒はStreptococcus の四肢丹毒に類似することがある.
  • 顔面に丹毒様の症状を認めたら,MRSAを想定して治療する必要がある.
  • MRSAの存在は鼻腔スワブ核酸増幅検査(NAAT)により迅速に検出可能

病原体

  • Streptococcus 属(A,B,C,G群)
  • S. aureus,MRSAを含む

第一選択

  • 経験的治療(MRSAを想定):VCM 15~20mg/kg静注8~12時間ごと(目標AUC24 400~600μg・h/mL達成が望ましいが[AUC-用量設定の原理と計算を参照],そうでなければトラフ値15~20μg/mLを目標とする)
  • MRSAのNAATが陰性なら,CEZ 1~2g静注8時間ごとに切り替える

第二選択

  • DAP 4mg/kg静注24時間ごと
  • LZD 600mg経口/静注12時間ごと

抗微生物薬適正使用

  • 通常治療期間は7~10日だが,菌血症のある患者ではより長期の治療となることがある.

コメント

  • 非常にまれだが,S. pneumoniaeも同様の症状を起こすことがある(上記の推奨処方で対応可能).
  • 小児では,H. influenzaeが丹毒様の顔面蜂窩織炎を引き起こすことがある(グラム陰性菌をカバーする処方が必要となる).
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2025/08/25