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日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版
広東住血線虫症
(
2024/11/26 更新
)
広東住血線虫症,好酸球性髄膜炎
臨床状況
好酸球性髄膜炎:住血線虫症.重度の頭痛,脳神経(第6,第7)麻痺,移行する体幹および四肢の痛み,感覚異常,排尿困難.
ネズミ肺線虫:環境への卵の放出.カタツムリ幼虫,ナメクジあるいはナメクジで汚染されたサラダの摂取.
東南アジアおよびハワイを含む太平洋諸島でみられ(
Am J Trop Med Hyg 101: 608, 2019
),米国の南部および湾岸地帯に広がりつつある:
MMWR Morb Mortal Wkly Rep 67: 825, 2018
;
Emerg Infect Dis 21: 1234, 2015
.
ハワイでは,侵襲性の巨大なsemi-slug
Parmarion martensi
が宿主として関与している.
MRIで軟膜の肥厚およびその他の特徴的な症状:CTスキャンは有用性が低い.
診断/病原体
診断
脳脊髄液PCRが利用できる.血清学検査は信頼性が低く,コンバージョンが遅い.
病原体
Angiostrongylus cantonensis
(広東住血線虫)
第一選択
鎮痛薬による対症療法と,しばしば連続腰椎穿刺が必要となる.
Prednisone 60mg/日(小児では2mg/kg,60mg/日まで)・14日により有症状期間,頭痛が軽減され,腰椎穿刺の必要性が減少した(
Trans R Soc Trop Med Hyg 102: 990, 2008
).ただし軽症例には適用されない.重症例ではPrednisoneをゆっくりと減量.
第二選択
いくつかの小規模研究によれば,コルチコステロイド治療に加え
アルベンダゾール
15mg/kg/日・14日または
メベンダゾール
10mg/kg/日・14日の使用が,頭痛の平均持続時間および連続腰椎穿刺の必要性をわずかに減少させる可能性がある.
アルベンダゾール
/
メベンダゾール
の長所と短所:
Parasitology 148: 227, 2021
.
コメント
疾患が悪化するおそれがあるためステロイドなしにアルベンダゾールを使用しない.アルベンダゾールの有用性はステロイド単独をごくわずかに上回るだけだが,有害ではない.
アルベンダゾールは,理論的には小さな幼虫による初期感染でより効果的と考えられるが,診断は遅れることが多い.
好酸球性髄膜炎の原因となる他の寄生虫としては,
Gnathostoma spinigerum(有棘顎口虫)
と
Baylisascaris procyonis(アライグマ回虫)
がある.
メベンダゾール500mg錠†(Vermox)はFDAに承認されているが,米国では企業からの提供のみで販売はされていない.
アルベンダゾール200mg錠はExpert Compounding Pharmacyから入手可(
入手困難な抗寄生虫薬の供給元
参照).アルベンダゾールのジェネリック(Albenza)はAmnealから販売されているが,薬価が非常に高く,一般の薬局では入手しにくい.
(†:日本にない剤形)
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2024/11/25