日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

酒さ様痤瘡  (2024/05/14 更新)


臨床状況

  • 病原不明の痤瘡様炎症性疾患
  • 中高年に起こる疾患で,鼻,頬,まぶた,前額部の紅斑および毛細血管拡張が起こる.
  • 紅斑性酒さ:初期には紅潮,持続的な紅斑を呈する.
  • 丘疹膿疱性瘡:後期には,丘疹,膿疱,嚢胞および結節.重症例では組織肥厚や酒さ(酒)鼻(鼻瘤)が起こる.
  • 目的はコントロールであって治癒ではない.
  • 一般的な治療方法
  • 紅潮の原因となるものを避ける:たとえば,辛い食べ物,アルコールなど
  • 皮膚の手入れ:モイスチャークリームを使う,やさしく皮膚を洗浄,局所的な刺激となるものを避ける.
  • 日焼け止めを使う.

病原体

  • 病原体は不明.ダニ/Helicobacter属/微生物の役割は明らかでない.

第一選択

  • 重症例以外は,通常局所治療:改善がはっきりと確認できるまでには4~6週が必要.
  • 顔面の酒さによる紅斑
  • αアドレナリン受容体作動薬
  • 拡張した血管を収縮させる.
  • ブリモニジンゲル†.1日2回患部に塗布
  • 効果はすぐに発現し,12時間収縮が持続する.
  • 皮膚灼焼感を伴う紅斑の再発が報告されている.
  • 症例シリーズからの報告では,レーザー治療の有用性が支持されている(Cutis 93: 71, 2014).
  • Azelaic acid 15%ゲル1日2回
  • 以上の処方が奏効しなければ,局所レチノイドを検討する.
  • 丘疹膿疱性酒さ
  • 局所治療の選択肢
  • MNZ 1%ゲル,クリーム†またはローション†上記と同様に1日1回塗布
  • Azelaic acid 15%ゲル1日2回
  • 経口DOXYを局所治療と併用することもある
  • 重症丘疹膿疱性疾患
  • 皮膚科医へのコンサルテーションを考慮する.
  • 難治性の重症例にのみ,経口Isotretinoinを考える:0.5~1mg/kg/日を2回に分割・数カ月.
  • 重症の鼻瘤に対する有効な処方は知られていない.外科的処置およびレーザーによる焼灼を考慮すること.

(†:日本にない剤形)

第二選択

  • DOXY 50mg経口1日1回.毛細血管拡張症,紅潮,鼻瘤には効果がない.奏効に数カ月から数年かかることもある.
  • 過酸化ベンゾイル,CLDMEMおよび5%Permethrin(ニキビダニに対して)の局所投与.

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2024/05/13