日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

イベルメクチン  (2024/08/27 更新)
主な商品名:ストロメクトール

「サンフォード感染症治療ガイド」の中で推奨されている薬剤の適応および用量は,日本で認可されているものとは異なっている場合がありますので,薬剤選択を考慮する場合には,必ず日本での添付文書および最新安全性情報に基づいて行って下さい.
日本の添付文書情報検索サイト

Contents

1. 用法および用量
  1. 使用
  2. 成人用量
  3. 小児用量
  4. 腎障害時の用量調整
  5. 肝障害時の用量調整
2. 副作用/妊娠時のリスク
3. 抗微生物スペクトラム
4. 薬理学
5. 主要な薬物相互作用
6. コメント

1. 用法および用量

 1. 使用

 2. 成人用量

より詳細は個々の寄生虫の項目を参照
糞線虫症
200μg/kg/日経口・1~2日
過剰感染で糞便や喀痰中に幼虫が存在する場合,糞便が陽性の間は15日間隔で繰り返し,その後さらに1サイクル治療.経口投与不能であれば,動物用イベルメクチン皮下投与または経直腸投与.

免疫不全患者での敗血症や髄膜炎を伴う過剰感染:イベルメクチン200μg/kg/日経口・糞便および/または喀痰検査が2週間陰性となるまで
オンコセルカ症(河川盲目症)
ミクロフィラリアには活性だが成虫への活性はなし.
150μg/kg経口1回.3~6カ月ごとに繰り返す.ロア糸状虫の同時感染をチェックし,感染がある場合はオンコセルカ症を先に治療する.
疥癬
200μg/kg経口1回
ノルウェー疥癬に感染したAIDS患者では,14日間隔で2回,またはそれ以上の投与が必要かもしれない.
アタマジラミ
月齢>6カ月の患者に対し,0.5%イベルメクチンローション1回10分間塗布により,15日目に74%でシラミが消失(N Engl J Med 367: 1687, 2012).250μg/kg経口7日間隔・3回も用いられる.

 3. 小児用量

用量(生後>28日)
200μg/kgを基準とした,体重に基づく1回経口用量
<15kg:安全性は示されていない
15~24kg:3mg
25~35kg:6mg
36~50kg:9mg
51~65kg:12mg
66~79kg:15mg
≧80kg:200μg/kg
注:WHO集団予防キャンペーンのガイドラインによれば,小児で身長90cm以上であれば,イベルメクチンにより安全に治療可能である.
最大/日

 4. 腎障害時の用量調整

半減期(時間)(腎機能正常)
20
半減期(時間)(ESRD)
データなし
用量(腎機能正常)
200μg/kg/日経口・1~2日
CrClまたはeGFR
腎障害時の用量調整不要
血液透析
データなし
CAPD
データなし
CRRT
データなし
SLED
データなし

 5. 肝障害時の用量調整

2. 副作用/妊娠時のリスク

副作用

妊娠時のリスク

3. 抗微生物スペクトラム

4. 薬理学

PK/PD指標
データなし
剤形
経口(3mg錠のみ)
食事に関する推奨(経口薬)1
錠:食事なしで
経口吸収率(%)
60
Tmax(時間)
4
最高血清濃度2(μg/mL)
0.05~0.08(12mg経口, SD)
最高尿中濃度(μg/mL)
データなし
蛋白結合(%)
93
分布容積3(Vd)
3~3.5 L/kg
平均血清半減期4(T1/2, 時間)
20
排泄
代謝,糞便
胆汁移行性5(%)
データなし
脳脊髄液/血液6(%)
データなし
治療が可能になるだけの脳脊髄移行性7
データなし
AUC8(μg・時間/mL)
データなし

†:日本にない剤形

  1. 注記のない場合は成人用経口製剤
  2. SD:単回投与後,SS:複数回投与後の定常状態
  3. V/F:(Vd)÷(経口生物学的利用能),Vss:定常状態におけるVd,Vss/F:(定常状態におけるVd)÷(経口生物学的利用能)
  4. CrCl>80 mL/分と想定
  5. (胆汁中の最高濃度)÷(血清中の最高濃度)×100
  6. 炎症時における脳脊髄液濃度
  7. 薬剤投与量と微生物の感受性に基づく判定.脳脊髄液濃度は理想ではMICの10倍以上必要
  8. AUC:血中濃度-時間曲線下面積 area under the drug concentration-time curve.0~inf=AUC0-inf,0~x時間=AUC0-x

5. 主要な薬物相互作用

薬剤
濃度への影響
推奨される対応
アジスロマイシン
イベルメクチン↑
Am J Trop Med Hyg 76: 1153, 2007
モニター

6. コメント

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2024/08/26