日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

Fosamprenavir(FOS-APV)  (2024/08/20 更新)
FOS-APV

Contents

1. 用法および用量
  1. 使用
  2. 成人用量
  3. 小児用量
  4. 腎障害時の用量調整
  5. 肝障害時の用量調整
2. 副作用/妊娠時のリスク
3. 抗微生物スペクトラム
4. 薬理学
5. 酵素・トランスポーター媒介相互作用
6. 主要な薬物相互作用
7. コメント

1. 用法および用量

 1. 使用

 2. 成人用量

通常用量
1400mg(700mg 2錠)経口1日2回(推奨されない)
またはリトナビルと併用:
[1400mg(2錠)+リトナビル 200mg]経口24時間ごと
または[1400mg(2錠)+リトナビル 100mg]経口24時間ごと(未治療患者に推奨)
または[700mg(1錠)+リトナビル 100mg]経口1日2回(既治療患者に推奨)

 3. 小児用量

用量(生後>28日)
6カ月~18歳,ARV未治療患者または既治療患者,体重別
体重<11 kg:45mg/kg(+リトナビル 7mg/kg)12時間ごと
体重11~<15 kg:30mg/kg(+リトナビル 3mg/kg)12時間ごと
体重15~<20 kg:23mg/kg(+リトナビル 3mg/kg)12時間ごと
体重
20 kg:18mg/kg(+リトナビル 3mg/kg)12時間ごと

青少年,ARV未治療患者
700mg(+リトナビル 100mg)12時間ごと,または
1400mg(+リトナビル100~200mg)24時間ごと

青少年,ARV既治療患者
700mg(+リトナビル 100mg)12時間ごと
最大/日

 4. 腎障害時の用量調整

半減期(時間)(腎機能正常)
7.7
半減期(時間)(ESRD)
データなし
用量(腎機能正常)
700mg経口12時間ごと
(リトナビル併用の場合)
CrClまたはeGFR
腎障害時の用量調整不要
血液透析
データなし
CAPD
データなし
CRRT
データなし
SLED
データなし

肝障害患者では用量調整が必要なことがある.

 5. 肝障害時の用量調整

Child-Pughスコア 5~9:700mg 12時間ごと

Child-Pughスコア >9:使用しない

肝障害があればリトナビル併用はしない

2. 副作用/妊娠時のリスク

副作用

妊娠時のリスク

3. 抗微生物スペクトラム

4. 薬理学

薬効分類
プロテアーゼ阻害薬(PI)
剤形
錠剤(700mg),経口懸濁液†(50mg/mL)
食事に関する推奨(経口薬)1
錠剤:食事の影響なし
懸濁液:(成人)食事なしで服用,(小児)食事とともに服用
経口吸収(%)
データなし
Tmax(時間)
2.5
最高血清濃度2(μg/mL)
6(700mg12時間ごと,SS)(併用:リトナビル100mg12時間ごと)
蛋白結合(%)
90
分布容積3(Vd)
データなし
平均血清半減期4(T1/2, 時間)
7.7
排泄
代謝
細胞内半減期(T1/2, 時間)
データなし
脳脊髄液/血液5(%)
データなし
中枢神経系移行効果(CPE)6
3
AUC7(μg・時間/mL)
79.2 (700mg12時間ごと,0~24時間)(併用:リトナビル100mg12時間ごと)

†:日本にない剤形

  1. 注記のない場合は成人用経口製剤
  2. SD:単回投与後,SS:複数回投与後の定常状態
  3. V/F:(Vd)÷(経口生物学的利用能),Vss:定常状態におけるVd,Vss/F:(定常状態におけるVd)÷(経口生物学的利用能)
  4. CrCl>80 mL/分と想定
  5. 炎症時における脳脊髄液濃度
  6. CPE(中枢神経系移行効果)値 1:低度,2~3:中等度,4:高度(Letendre, et al., CROI 2010, abs #430)
  7. AUC:血漿中濃度-時間曲線下面積 area under the drug concentration-time curve.0~inf=AUC0-inf,0~x時間=AUC0-x

5. 酵素・トランスポーター媒介相互作用

CYP450の基質
3A4
トランスポーターの基質
  
CYP450の阻害
3A4
トランスポーターの阻害
  
CYP450誘導
  
トランスポーターの誘導
  
血清中薬物濃度への影響

血清中薬物濃度への影響は,当該抗微生物薬により影響を受ける併用薬の血清中濃度である.↑:上昇,↓:低下,空白:薬物への影響なし

6. 主要な薬物相互作用

薬剤
濃度への影響(その他)
推奨される対応
Alfuzosin
Alfuzosin↑
禁忌
アルプラゾラム
アルプラゾラム↑
モニター,用量調整
アミオダロン
アミオダロン↑
モニターまたは避ける
アトルバスタチン
アトルバスタチン↑
モニター,用量調整
ボセンタン
ボセンタン↑
モニター,用量調整
Ca拮抗薬
Ca拮抗薬↑
モニター
カルバマゼピン
Amprenavir↓
併用を避ける
Clorazepate
Clorazepate↑
モニター,用量調整
コルヒチン
コルヒチン↑
腎/肝障害では禁忌,その他の場合は,用量調整およびモニター
シクロスポリン
シクロスポリン↑
モニター
デキサメタゾン
Amprenavir↓
併用を避ける
ジアゼパム
ジアゼパム↑
モニター,用量調整
エプレレノン
エプレレノン↑
禁忌
麦角アルカロイド
麦角アルカロイド↑
禁忌
エチニルエストラジオール
Amprenavir↓,エチニルエストラジオール↓
他の方法を用いる
フレカイニド
フレカイニド↑
禁忌(FOS-APV/リトナビル使用の場合)
フルラゼパム
フルラゼパム↑
モニター,用量調整
フルチカゾン
フルチカゾン↑
併用を避ける
H2拮抗薬
Amprenavir↓
併用を避ける
イトラコナゾール
イトラコナゾール↑
モニター,用量調整
ケトコナゾール
ケトコナゾール↑
モニター,用量調整
リドカイン
リドカイン↑
モニターまたは避ける
ロバスタチン
ロバスタチン↑
禁忌
ルラシドン
ルラシドン↑
禁忌(FOS-APV/リトナビル使用の場合)
Methadone
Methadone↓
モニター
ミダゾラム
ミダゾラム↑
禁忌
他のARV薬
抗レトロウイルス薬間の薬物相互作用を参照
パロキセチン
パロキセチン↓
モニター,用量調整
フェノバルビタール
Amprenavir↓
併用を避ける
フェニトイン
Amprenavir↓
(FOS-APVの)併用を避ける
フェニトイン
Amprenavir↓,フェニトイン↓
モニター,用量調整(FOS-APV/リトナビル使用の場合)
ピモジド
ピモジド↑
禁忌
プロパフェノン
プロパフェノン↑
禁忌(FOS-APV/リトナビル使用の場合)
クエチアピン
クエチアピン↑
用量調整または避ける
キニジン
キニジン↑
モニターまたは避ける
リファブチン
リファブチン(+代謝物)↑
モニター,用量調整
リファンピシン
Amprenavir↓
禁忌
サルメテロール
サルメテロール↑
併用を避ける
シルデナフィル(EDに対して)
シルデナフィル↑
モニター,用量調整
シルデナフィル(肺動脈性肺高血圧症に対して)
シルデナフィル↑
禁忌
Simeprevir
Simeprevir↑↓
併用を避ける
シンバスタチン
シンバスタチン↑
禁忌
シロリムス
シロリムス↑
モニター
セイヨウオトギリソウ
Amprenavir↓
禁忌
タクロリムス
タクロリムス↑
モニター
タダラフィル(EDに対して)
タダラフィル↑
モニター,用量調整
タダラフィル(肺動脈性肺高血圧症に対して)
タダラフィル↑
モニター,用量調整
トラゾドン
トラゾドン↑
モニター,用量調整
トリアゾラム
トリアゾラム↑
禁忌
三環系抗うつ薬(TCA)
TCA↑
モニター
バルデナフィル
バルデナフィル↑
モニター,用量調整
Viekira Pak
Amprenavir↑,Paritaprevir↑
併用を避ける(FOS-APV/リトナビル使用の場合)
ワルファリン
ワルファリン↑↓
INRをモニター,用量調整

7. コメント

より強力な抗レトロウイルス薬が他にあり,それらに比べると有効性が低いため,現在は使用されていない.

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2024/08/20