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日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版
HIV初期感染
(
2023/12/12 更新
)
臨床状況
臨床像は非特異的.
通常は急性単球増加症候群の症状を示す:つまり,発熱,リンパ節炎,喉の痛み,発疹.「モノスポット(例:ポールバンネル反応など)陰性のMono」
無菌性髄膜炎として発症することもある.
定義:初期の急激なHIVウイルス血症,抗HIV抗体は検出されない.
ウイルス量が非常に高いと,HIV伝播の危険性が非常に大きくなるという認識が重要である.
感染の確認後すぐに治療することが標準的な推奨である.
可能性としての有用性:循環血中と深部貯蔵組織(たとえば,消化管関連リンパ組織)の両方の反応性CD4リンパ球をプールして機能を温存すること
ウイルス量の急激な低下により,HIV伝播リスクも減少する.
病原体/診断
病原体
HIV-1
診断
RT-PCRで測定される循環ウイルス量が非常に高い.>100万コピー/mLとなることが多い.<2000コピー/mLなら偽陽性の可能性が大きい.
p24抗原レベルも非常に高い.
HIV抗体検査は陰性.
第一選択
慢性HIV感染治療に対する推奨と同じ処方を用いる(
抗レトロウイルス療法(ART)-成人
または
小児で推奨されるART処方
参照).ただし,Strand-transferインテグラーゼ阻害薬(
ドルテグラビル
またはBictegravir)を含む処方は,これらの薬剤に対する耐性がまれであることから好ましい可能性がある.HLA-B5701検査,HBV感染の評価はすぐにはできないため,
デシコビ
[テノホビルアラフェナミド(TAF)+エムトリシタビン(FTC)]を併用すること.
治療前の状態に回復したら,初期(急性期)処方の調整を行ってもよい.すべての検査項目で治療前の状態に回復した場合には,望ましければ単錠処方へ変更してもよい.
遺伝子型耐性検査を行うこと(推定8~10%の耐性ウイルス感染がある)
コメント
いったんARTを始めたら治療は生涯にわたる.
活性のある薬剤を3剤より多く(たとえば5剤)併用しても,通常の3剤併用の効果を上回ることはなく,治療に関連する毒性を増大させる可能性がある(
J Acquir Immune Defic Syndr 66: 140, 2014
).
1剤以上の抗レトロウイルス薬に対する耐性を獲得したウイルスが出現する危険性があるため,耐性検査を行い,それに基づいて処方を設計する.ただし急性セロコンバージョン症候群の場合には,耐性検査の結果を待つ間に経験的治療を開始する.耐性検査の結果が得られたら,必要に応じて処方を変更する.
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2023/12/11