false
日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版
Aspergillus fumigatus
(
2026/06/23 更新
)
臨床状況
Aspergillus
属は環境中に遍在する.
臨床疾患を引き起こす
Aspergillus
としてはもっとも多い.
臨床症状としては,免疫不全者の侵襲的肺疾患,播種性疾患,半侵襲的,慢性肺感染,既存の肺空洞の菌腫,アレルギー性気管支肺アスペルギルス症が含まれる.
侵襲性疾患のリスクが高いのは,長期の好中球減少症を経験した患者(急性白血病,骨髄異形成症候群),同種幹細胞移植(宿片対宿主病),固形臓器移植,慢性肉芽腫病,高用量コルチコステロイド使用の患者などである.
診断/分類
診断
原因菌は,微生物学検査の通常の媒質で容易に同定でき,特徴的な中隔,分岐する菌糸をもつ.ガラクトマンナン抗原およびβ-Dグルカンなどの他の診断検査の使用は,侵襲的疾患の診断の補助となりうる.
分類
糸状菌
第一選択
VRCZ
6mg/kg静注/経口初日12時間ごと;その後4mg/kg静注/経口12時間ごと
イサブコナゾニウム硫酸塩
(
ISCZ
のプロドラッグ)372mg経口/静注8時間ごと・6回,その後372mg経口/静注1日1回
PSCZ
(遅延放出性錠剤†および静注製剤だけが,侵襲性Aspergillus感染治療について承認されている)
遅延放出性錠剤†300mg経口12時間ごと・2回,その後300mg経口1日1回
静注300mg90分以上かけて静注12時間ごと初日,その後300mg静注1日1回
(†:日本にない剤形)
第二選択
L-AMB
3~5mg/kg/日静注
ABLC
†5mg/kg/日静注
(†:日本にない剤形)
コメント
VRCZ
目標濃度範囲1.0~5.5mg/L(4日目にトラフ値)達成のために血清濃度をモニターする:反応率改善,副作用抑制に結びつく(
Clin Infect Dis 55: 1080, 2012
).
VRCZ静注は,7日までの治療ならば,腎機能不全患者でも腎機能の悪化には関連しない.静注VRCZは,従来考えられていたほど毒性は強くない(
Clin Infect Dis 54: 913, 2012
).
196例を対象としたレトロスペクティブ研究では,37例(19%)にVRCZ耐性感染が潜んでおり,死亡率の上昇と相関していた.したがって,早期のin vitro感受性検査が必要である(
Clin Infect Dis 68: 1463, 2019
).
ISCZ(プロドラッグ:イサブコナゾニウム硫酸塩)
侵襲性アスペルギルス症に関してISCZとVRCZを比較したランダム化対照比較研究では,ISCZは侵襲性アスペルギルス症治療についてVRCZに非劣性であった.しかし,全体としてISCZの方が副作用は少なかった(特に,皮膚,視覚および胆肝系)(
Lancet 387: 760, 2016
).
PSCZ
侵襲性アスペルギルス症に関してPSCZとVRCZを比較したランダム化対照比較研究では,PSCZは侵襲性アスペルギルス症治療についてVRCZに非劣性であった.しかし,全体としてPSCZの方が治療関連副作用は少なかった(
Lancet 397: 499, 2021
).
L-AMBまたはABLC†
VRCZに不耐な患者では望ましい処方
10mg/kgは有効でなく,L-AMB 3mg/kgよりも毒性が強い(
Clin Infect Dis 44: 1289, 2007
)
CPFG
侵襲性肺アスペルギルス症での反応率は約50%であり,単剤治療は推奨されない
併用治療
VRCZ+AnidulafunginとVRCZ単剤を比較したランダム化対照試験では,併用治療群の方が,侵襲性アスペルギルス症患者全員で死亡率低下の傾向があった(
Ann Intern Med 162: 81, 2015
).診断が放射線画像とガラクトマンナン陽性により確定した侵襲性アスペルギルス症患者のサブグループでは併用治療での死亡率はより低かった.併用治療は強く考慮されるべきだが,どのような患者にもっとも有用かを決定するためのさらなるデータが必要である.一部の専門家はAMPH-B中心の処方にエキノキャンディンあるいは他のアゾール系を追加することを推奨するかもしれない.
いつ抗真菌薬感受性検査を行うか?
高度の抗菌薬曝露がある場合
ヨーロッパの一部地域のように地域でのアゾール薬耐性
A. fumigatus
検出率が高い場合(
Emerg Infect Dis 25: 176, 2019
)
治療に対して反応がない場合
Aspergillus
属は一般的にどの抗真菌薬に対しても耐性:
A. terreus
はAMPH-Bに耐性であることが多く,一方,
A. lentulus
や
Neosartorya udagawae
はアゾールに耐性の場合がある.
IDSA治療ガイドライン(
Clin Infect Dis 63: 433, 2016
).
(†:日本にない剤形)
ライフサイエンス出版株式会社 © 2011-2026 Life Science Publishing
↑ page top
2026/06/22