日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

発疹チフス-ツツガムシ病  (2024/09/17 更新)


臨床状況

  • ダニが媒介するリケッチア感染症.
  • 患者は太平洋岸のアジア側で発生しており,発熱,頭痛および筋肉痛を呈する.ツツガムシ(ダニ)への曝露.
  • 斑点状の発疹が患者の50%で生じる.
  • 患者の多くで血小板減少がみられる.

病原体/診断

病原体
  • Orientia tsutsugamushi (ツツガムシ)
  • 旧名 Ricketsiae tsutsugamuchi
診断
  • 確定診断は血清検査によるが,PCRが普及しつつある.

第一選択

  • 成人での重症感染,たとえば,ARDS,肝炎,血圧低下/ショック,腎不全(通常は入院患者)
  • 静注併用治療
  • DOXY 200mg静注†1日2回・第1日,その後100mg静注1日2回・6日+AZM 500mg静注1日2回・第1日,その後500mg静注1日1回・6日
  • ■妊婦を除外した成人を対象としたプロスペクティブランダム化対照比較研究に基づく
  • 非重症例:
  • DOXY 100mg経口/静注†1日2回・7日(コメント参照)

(†:日本にない剤形)

第二選択

  • CP 500mg経口または静注1日4回・7日
  • DOXY耐性が疑われる場合:
  • RFP 600mg経口1日1回・5日(コメント参照)
  • AZM 500mg経口1日1回・5日(任意の処方)

コメント

  • 小児に対するDOXY使用について:
  • 小児患者に対するテトラサイクリン系薬の使用について,8歳未満の小児では,薬剤とその着色分解物質がエナメル質に沈着することにより,歯の永久的な変色が起こることが報告されていたため,従来は制限されていた
  • DOXYは,他のテトラサイクリン系薬に比べカルシウムへの結合力が弱く,最近の比較データからは,8歳未満の小児で目に見える歯の変色やエナメル質形成不全を引き起こす可能性は低いことが示唆されている.
  • DOXY 100mg経口1日2回・5日
  • RFP 600mg経口1日1回・5日
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2024/09/17