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日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版
発疹チフス-ツツガムシ病
(
2024/09/17 更新
)
臨床状況
ダニが媒介するリケッチア感染症.
患者は太平洋岸のアジア側で発生しており,発熱,頭痛および筋肉痛を呈する.ツツガムシ(ダニ)への曝露.
インドでは急性脳炎として発症する(
PLoS Negl Trop Dis 12: e0006346, 2018
).
斑点状の発疹が患者の50%で生じる.
患者の多くで血小板減少がみられる.
総説:
Curr Opin Infect Dis 33: 365, 2020
.
病原体/診断
病原体
Orientia tsutsugamushi
(ツツガムシ)
旧名
Ricketsiae tsutsugamuchi
診断
確定診断は血清検査によるが,PCRが普及しつつある.
第一選択
成人での重症感染,たとえば,ARDS,肝炎,血圧低下/ショック,腎不全(通常は入院患者)
静注併用治療
■
DOXY
200mg静注†1日2回・第1日,その後100mg静注1日2回・6日+
AZM
500mg静注1日2回・第1日,その後500mg静注1日1回・6日
■妊婦を除外した成人を対象としたプロスペクティブランダム化対照比較研究に基づく
非重症例:
DOXY
100mg経口/静注†1日2回・7日(コメント参照)
(†:日本にない剤形)
第二選択
CP
500mg経口または静注1日4回・7日
妊婦:
AZM
500mg経口または静注・1回(
Clin Infect Dis 39: 1329, 2004
)
DOXY耐性が疑われる場合:
RFP
600mg経口1日1回・5日(コメント参照)
AZM
500mg経口1日1回・5日(任意の処方)
コメント
小児に対するDOXY使用について:
小児患者に対するテトラサイクリン系薬の使用について,8歳未満の小児では,薬剤とその着色分解物質がエナメル質に沈着することにより,歯の永久的な変色が起こることが報告されていたため,従来は制限されていた
DOXYは,他のテトラサイクリン系薬に比べカルシウムへの結合力が弱く,最近の比較データからは,8歳未満の小児で目に見える歯の変色やエナメル質形成不全を引き起こす可能性は低いことが示唆されている.
DOXYは短期間(≦21日)ならば,患者の年齢にかかわらず安全に投与できる(
AAP Red Book 2018
;
J Pediatr 166: 1246, 2015
).
オープンラベルランダム化比較試験(
Clin Infect Dis 67: 600, 2018
)では,以下の安全性と有効性は同等だった:
DOXY
100mg経口1日2回・5日
RFP
600mg経口1日1回・5日
DOXY耐性のエビデンスはない:
Clin Infect Dis 70: 2444, 2020
.
【日本の情報】全数報告対象(4類感染症)であり,診断した医師は直ちに最寄りの保健所に届け出なければならない.厚生労働省「
感染症法に基づく医師の届出について
」
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2024/09/17