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日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版
網膜炎-サイトメガロウイルス
(
2024/11/12 更新
)
サイトメガロウイルス(CMV)網膜炎,HIV/AIDS
臨床状況
CMV網膜炎は,CD4<50/mm
3
のAIDS患者の失明原因として最も多い.
鑑別診断
HIV網膜炎
単純ヘルペス網膜炎
水痘・帯状疱疹網膜炎(まれ,診断は難しい)
ARV治療開始に伴う免疫再構築症候群(IRIS)に注意
コルチコステロイド治療(眼周囲のコルチコステロイド投与あるいは短期の全身性ステロイド治療)により,CMV網膜炎の再燃なしに免疫再構築硝子体炎の炎症反応を抑制できる.
病原体
サイトメガロウイルス(CMV)
第一選択
緊急に視力の危険がある病変:[
ガンシクロビル
(1回2mg)または
ホスカルネット
(1回2.4mg)硝子体内注入1~4回・7~10日]+
バルガンシクロビル
900mg経口1日2回・14~21日,その後900mg経口1日1回(注:
ガンシクロビル
のインプラントは現在では生産されていない).
辺縁の病変:
バルガンシクロビル
900mg経口12時間ごと・14~21日,その後900mg経口24時間ごとの維持療法.
治療後抑制(CD4数<100/mm
3
):
バルガンシクロビル
900mg経口24時間ごと.CD4数>100/mm
3
が6週続けば中断.
第二選択
ガンシクロビル
5mg/kg静注12時間ごと・14~21日,その後
バルガンシクロビル
900mg経口24時間ごと
ホスカルネット
60mg/kg静注8時間ごとまたは90mg/kg静注12時間ごと・14~21日,その後90~120mg/kg静注24時間ごと,または
Cidofovir
5mg/kg静注2週,その後5mg/kg隔週(投与はそれぞれ生食静注補液およびプロベネシド経口とともに行う),または
再発に対してのみ:Fomivirsenの硝子体内注入を繰り返す
コメント
緩解導入に関してはバルガンシクロビル経口はガンシクロビル静注と同等(
N Engl J Med 346: 1119, 2002
).
Fomivirsenは作用機序が独特なため,分離ウイルスが他の薬剤に耐性ならば試みてもよい.
網膜炎の診断後1年以内に50~60%の患者で網膜剥離が起こる(
Ophthalmology 111: 2232, 2004
).
ガンシクロビル/ホスカルネット/バルガンシクロビル
静注ガンシクロビルとホスカルネットの効果は同等.
ガンシクロビルはホスカルネットのような腎毒性はない.
ホスカルネットにはガンシクロビルのような骨髄抑制はないが,骨髄毒性はガンシクロビルと同等.
経口バルガンシクロビルが両者に代わって用いられる.
ガイドライン:
臨床ガイドライン
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2024/11/11