日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

肺炎-Legionella   (2023/06/06 更新)
在郷軍人病


臨床状況

  • Legionella属は市中肺炎および院内肺炎の双方の原因となる.
  • 咳があるにもかかわらず,多くの患者で粘液状の非膿性痰の排出は少ない.
  • リスク因子:免疫不全患者,喫煙者,合併症のある患者.
  • 関連する臨床所見(若干非特異的であるが):
  • 下痢,その他の胃腸症状
  • 意識障害
  • 比較的徐脈
  • 低ナトリウム血症
  • 肝酵素の上昇
  • BUNとクレアチニンの上昇
診断
  • 培養での検出は困難(特殊な培地が必要).患者の多くは喀痰量が少ない.
  • Legionella尿中抗原はL. pneumophila血清型1(米国ではレジオネラ症の約80%を占める)の検出には信頼性が高い(特異度100%).
  • 感度70~80%,したがって,尿中抗原が陰性で臨床的には疑いが強い場合には,呼吸器検体のLegionella PCRが推奨される.
  • 呼吸器検体のLegionella PCRは,臨床に関連するLegionella種と血清型をすべて検出する.
  • 喀痰か気管支洗浄液の検査が最もよい.鼻咽頭スワブも利用可能だが感度は低い.

病原体

  • Legionella pneumophilia
  • 他のLegionella

第一選択

  • LVFX 750mg静注または経口24時間ごと,またはMFLX 400mg静注†または経口24時間ごと
  • AZM 500mg静注または経口24時間ごと

(†:日本にない剤形)

第二選択

  • DOXY 100mg静注†または経口1日2回

(†:日本にない剤形)

抗微生物薬適正使用

  • 入院患者では最初に静注治療を行い,状態が安定したら経口治療に切り替える.
  • 治療期間は免疫正常患者では7~10日,重症または免疫不全患者ではより長期(14~21日)(Clin Chest Med 38: 45, 2017).
  • RFP併用治療やAZM+フルオロキノロン系薬併用の有用性は証明されていない(RFP併用では,多くの患者で薬物相互作用が主要な問題となる).

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2023/06/05