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日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版
肺炎-
Legionella
属
(
2023/06/06 更新
)
在郷軍人病
臨床状況
Legionella
属は市中肺炎および院内肺炎の双方の原因となる.
咳があるにもかかわらず,多くの患者で粘液状の非膿性痰の排出は少ない.
リスク因子:免疫不全患者,喫煙者,合併症のある患者.
関連する臨床所見(若干非特異的であるが):
下痢,その他の胃腸症状
意識障害
比較的徐脈
低ナトリウム血症
肝酵素の上昇
BUNとクレアチニンの上昇
フェリチンの上昇.ピーク濃度の範囲:591~5990(
Clin Infect Dis 46: 1789, 2008
)
診断
培養での検出は困難(特殊な培地が必要).患者の多くは喀痰量が少ない.
Legionella
尿中抗原は
L. pneumophila
血清型1(米国ではレジオネラ症の約80%を占める)の検出には信頼性が高い(特異度100%).
感度70~80%,したがって,尿中抗原が陰性で臨床的には疑いが強い場合には,呼吸器検体の
Legionella
PCRが推奨される.
呼吸器検体の
Legionella
PCRは,臨床に関連する
Legionella
種と血清型をすべて検出する.
感度0.83~0.98,特異度0.90~0.94(陽性尤度比8.3~15,陰性尤度比0.02~0.2)(
J Med Microbiol 66: 485, 2017
).
喀痰か気管支洗浄液の検査が最もよい.鼻咽頭スワブも利用可能だが感度は低い.
病原体
Legionella pneumophilia
他の
Legionella
属
第一選択
LVFX
750mg静注または経口24時間ごと,または
MFLX
400mg静注†または経口24時間ごと
AZM
500mg静注または経口24時間ごと
(†:日本にない剤形)
第二選択
DOXY
100mg静注†または経口1日2回
(†:日本にない剤形)
抗微生物薬適正使用
入院患者では最初に静注治療を行い,状態が安定したら経口治療に切り替える.
治療期間は免疫正常患者では7~10日,重症または免疫不全患者ではより長期(14~21日)(
Clin Chest Med 38: 45, 2017
).
RFP併用治療やAZM+フルオロキノロン系薬併用の有用性は証明されていない(RFP併用では,多くの患者で薬物相互作用が主要な問題となる).
コメント
マクロライド系薬とフルオロキノロン系薬の有効性はおそらく同等(
Clin Infect Dis 72: 1979, 2021
).
臨床的特徴と死亡の予測因子についての最近の総説:
BMC Infect Dis 10: 124, 2010
診断と治療についての総説:
Infect Dis Ther 11: 973, 2022
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2023/06/05