日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

咽頭炎-ウイルス性  (2023/10/10 更新)


臨床状況

  • ウイルス性咽頭炎:小水疱性,びまん性紅斑,潰瘍性.
  • 結膜炎,鼻の症状,咳,発疹,または嗄声を伴う場合は,ウイルス性咽頭炎を疑う.
  • 後咽頭に小水疱±掌や足裏の小水疱がある場合はエンテロウイルスが疑われる(手足口病).
  • 後頸部リンパ節腫脹,巨脾腫がある場合はエプスタインバーウイルス(EBV)が疑われる.
  • 舌先端または歯肉線に沿って小水疱がある場合は単純ヘルペスが疑われる.
  • びまん性紅斑および関連する結膜炎がある場合はアデノウイルスが疑われる.
  • Streptococcus による咽頭炎」に似た症状を呈するその他については,J Emerg Med 54: 619, 2018 を参照.

病原体

  • エンテロウイルス,特に以下のもの
  • コクサッキーA群ウイルス9型,B群ウイルス1~5型
  • エコーウイルス(多彩なタイプ)
  • エンテロウイルス71
  • エプスタインバーウイルス(EBV)
  • 単純ヘルペスウイルス(HSV) 1,2型

第一選択

  • 抗菌薬の適応はない.
  • 単純ヘルペスウイルス 1,2型が同定された,あるいは疑われる場合:

第二選択

  • なし

抗微生物薬適正使用

  • ウイルス性咽頭炎に対して抗菌薬を使用しないこと.
  • 迅速Streptococcus検査や培養が陽性でない咽頭炎に対する抗菌薬治療は,抗菌薬過剰使用の主な原因である.Streptococcus検査陽性でもウイルス性咽頭炎の臨床症状を呈する場合は,Streptococcusの定着によるものであり,抗菌薬治療は不要であること再認識する.

コメント

ライフサイエンス出版株式会社 © 2011-2024 Life Science Publishing↑ page top
2023/10/10