日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

Mycobacterium avium-intracellulare complex (MAC)-播種性感染,HIV/AIDS  (2025/01/14 更新)
非結核性抗酸菌,治療,播種性MAC,免疫不全


臨床状況

  • 播種性M. avium intracellular complex(MAC)感染は,HIV/AIDS患者で適合した自他覚症状があり,血液,リンパ液,骨髄または通常は無菌の組織や体液からMACが分離された場合と定義される.
  • AIDS患者での播種性感染に対する治療と維持治療

病原体

  • Mycobacterium avium-intracellulare complex

第一選択

  • AZM 500mg経口/日+EB 15mg/kg/日+RBT 300mg経口24時間ごと(薬物相互作用に応じて用量調整)
  • RBTの追加(およびおそらく,コメントにあげた活性の可能性がある第4薬)は,菌量が多い(たとえば,血液中>2log10CFU/mL),CD4数<50 cells/mm3,または有効な抗レトロウイルス処方がない患者で推奨される.
  • HIV感染患者では抗レトロウイルス治療を行う(IRIS(免疫再構築症候群)に関するコメント参照)
  • 維持療法,治療後抑制(二次予防)
  • 治療と同様
  • ARTによって免疫再構築が起こらなければ,長期維持療法を継続する

第二選択

  • CAM 500mg経口/日+EB 15mg/kg/日+RBT 300mg経口24時間ごと(薬物相互作用に応じて用量調整)
  • RBTの追加(およびおそらく,コメントにあげた活性の可能性がある第4薬)は,菌量が多い(たとえば,血液中>2log10CFU/mL),CD4数<50 cells/mm3,または有効な抗レトロウイルス処方がない患者で推奨される.
  • HIV感染患者では抗レトロウイルス治療を行う(IRISに関するコメント参照)
  • 維持療法,治療後抑制(二次予防)
  • 治療と同様
  • ARTによって免疫再構築が起こらなければ,長期維持療法を継続する

コメント

  • 臨床分離株のマクロライド系薬への感受性を確認すること.
  • 第一選択薬または第二選択薬と併用した場合に活性の可能性がある他の薬剤:AMK 10~15mg/kg/日静注,CPFX 750mg12時間ごと,SM 1g静注1日1回,LVFX 500mg経口1日1回,MFLX 400mg経口1日1回
  • ベダキリン,TDZ,LZD,Omadacyclineは,MAC臨床的分離株に対してin vitroで活性を示すため,難治性MAC疾患の患者ではこれらも考慮してもよいかもしれない.
  • IRIS(免疫再構築症候群)
  • CD4数が低いほど発症のリスクは大きい.
  • HIV感染患者の1/4以上で,抗レトロウイルス治療開始後数週~数カ月で発症する.
  • 所見および症状は,発熱,痛みを伴うリンパ節腫脹,腹痛,限局性膿瘍など.
  • 他の原因を除外し,軽症~中等症の患者では,非ステロイド性抗炎症薬,または経口プレドニゾン40mgを4~8週かけてゆっくり減量.
  • 薬剤毒性,薬剤耐性,および不十分な血清中濃度による治療失敗率が高い.2~4週間で最初の処方に反応がない場合は,1剤またはそれ以上の薬剤を追加.
  • 治療後抑制は以下の基準をすべて満たせば中止してもよい:
  • 少なくとも12カ月の治療が完了した.
  • MACの所見,症状がない.
  • CD4数>100 cells/mm3が>6カ月続いている.
  • 長期維持治療(二次予防)再開の適応
  • 完全な抑制的ART処方は可能でなく,CD4数が一貫して<100cells/mm3の場合
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2025/01/14