日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

性病性リンパ肉芽腫症  (2024/06/18 更新)
性病性リンパ肉芽腫症(LGV)


臨床状況

  • 一過性で無痛の性器潰瘍で,有痛で片側にgroove signを呈する鼠径部リンパ節症を伴う(Clin Infect Dis 61: S865, 2015).
  • 直腸への曝露(男性,女性)により直腸結腸炎(発熱,痛み,分泌物,直腸潰瘍,出血)を発症することがある(Dis Colon Rectum 52: 507, 2009).
  • 報告されているほとんどの症例シリーズは男性同性愛者(MSM)であり,臨床症状が炎症性腸疾患と混同されることがある.
  • 核酸増幅検査(NAAT)の診断結果がでるまで,推定的治療を行う.

病原体/診断

病原体
診断
  • 確定診断はLGV特異的分子検査(例:PCRに基づくジェノタイピング)でのみ可能だが,広く普及していない.
  • 直腸検体のC. trachomatisに対するNAATは陽性となる.
  • クラミジア血清検査(補体結合または免疫蛍光顕微鏡)はルーチンで使用すべきではないが,NAAT陰性の場合には有用なことがある.
  • 副鼻洞管が形成されるため,生検は禁忌である.

第一選択

  • DOXY 100mg経口1日2回・21日

第二選択

  • EM 500mg経口1日4回・21日
  • 第二選択処方の場合,NAATによる治癒テストを行う(診断後4週)

コメント

  • 性病性リンパ肉芽腫(LGV)を呈したすべての患者に対して,HIV,梅毒,およびその他のSTI検査を行う.
  • LVG治療を行ったすべての患者で,3カ月後にクラミジアに対する再検査を行う.
  • HIVの検査結果が陰性の場合,HIV PrEPを行う.
  • 発症前60日以内に関係したセックスパートナーを評価し,C. trachomatis感染を想定してAZM 1g経口1回またはDOXY 100mg経口1日2回・7日の治療を行う.
  • LGV直腸炎は,早急に治療しなければ直腸瘻や狭窄を引き起こすことがある.
  • 多くの性器感染症よりも侵襲的で治癒が難しいため,長期の治療(3週間)を必要とする.
  • すべての徴候や症状が消失するまで,臨床的にフォローする.
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2024/06/17