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日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版
感染性心内膜炎-人工弁,経験的治療
(
2025/11/04 更新
)
臨床状況
人工弁装着患者で心内膜炎の所見/症状がある場合の,培養結果が出るまでの間の経験的治療.
初期症状はとらえにくく,原因不明の心不全とされ,発熱も顕著でないことがある.
2023年,Duke心臓感染症国際会議の感染性心内膜炎診断基準が改定された.
Clin Infect Dis 77: 518, 2023
参照.
病原体
早期(手術後<2カ月):
S. aureus
S. epidermidis
まれに:腸内細菌科,ジフテロイド,真菌
晩期(手術後>2カ月)
S. aureus
S. epidermidis
Viridans streptococci
Enterococcus
属
第一選択
VCM
15~20mg/kg静注8~12時間ごと
(目標AUC
24
400~600
μ
g・h/mL達成が望ましいが[
AUC-用量設定の原理と計算
を参照],そうでなければトラフ値15~20
μ
g/mLをめざす)
+
CFPM
2g静注8時間ごと(コメント参照)
第二選択
VCM
同上+
GM
3mg/kg静注1日1回
抗微生物薬適正使用
微生物学的診断が確定したら,病原体を標的とした特異的治療を行わなければならない
コメント
心内膜炎が疑われる場合の経験的治療には,エビデンスに基づいた推奨処方はない.上記に第一選択とした処方は,最も可能性の高い病原菌である
S. aureus
および
S. epidermidis
(Methicillin耐性株を含む),腸内細菌科 (早期発症感染で考慮),
Streptococcus
属,
Enterococcus
属,HACEKを十分カバーする初期治療である.GMは,特にVCMなどの腎毒性の可能性がある別の薬剤を併用した場合には,短期間・低用量でも毒性があるため,推奨薬剤としていない.RFPは
Staphylococcus
による人工弁心内膜炎に推奨されているが,菌量が多いために耐性が出現する可能性を最小限にするために,効果的な抗菌薬の3~5日後に投与する必要があり,経験的治療の薬剤とはしていない.
特に
S. aureus
が原因菌であり,心不全が明らかで,糖尿病や腎不全があり,あるいは弁輪部膿瘍の危険がある場合には,早期の外科コンサルテーションが推奨される(
JAMA 297: 1354, 2007
;
Clin Infect Dis 44: 364, 2007
).
早期の弁手術は,
S. aureus
の人工弁心内膜炎における1年生存率改善と関連しなかった(
Clin Infect Dis 60: 741, 2015
).
人工弁心内膜炎の外科的治療についての文献:
Eur J Cardiothorac Surg 38: 528, 2010
;
N Engl J Med 368: 1425, 2013
;
JAMA 312: 1323, 2014
.
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2025/11/04