日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

感染性心内膜炎-Bartonella  (2024/06/04 更新)
心内膜炎,自己弁,Bartonella


臨床状況

  • Bartonellaは培養陰性心内膜炎の2番目に多い原因菌である.
  • Bartonella quintana心内膜炎はアルコール依存,ホームレス,コロモジラミと関連する.
  • Bartomella henselaeはネコおよび弁膜症に関連する.

診断

  • 血清学検査陽性
  • EIA推奨
  • 力価≧1:800は感染性心内膜炎と良好な相関
  • 注:低力価はCoxiella burnetiiBrucella属,まれにはE. faecalisと交差反応
  • 切除心臓弁膜のBartonella特異的RT-PCR
  • 弁膜組織の組織学的検査
  • Bartonella属の培養(陽性はまれ)

第一選択

再発のリスクがあるため,Bartonellaによる心内膜炎の治療は長期化する.6~8週ごとに抗体価を測定し,治療期間の指針とする.
特異的治療
  • DOXY 100mg経口または静注†1日2回・6週+GM 1mg/kg静注8時間ごと・最初の2週
  • GMの目標血清中濃度:ピーク値3~4μg/mL,トラフ値<1μg/mL
  • DOXY治療の期間は弁膜切除手術による:
  • 感染した弁膜が切除されたら,DOXYを6週継続
  • 弁膜手術が行われなければ,DOXYを3カ月継続
  • DOXYが使用できない場合は,それに代えてAZM 500mg静注/経口1日1回をGMと併用で14日
  • 感染した弁膜が切除されたら,AZMを3カ月継続
  • 感染した弁膜が切除されなければ,AZMを6カ月継続

(†:日本にない剤形)

第二選択

  • GMが毒性のために使用できなければ,専門家の助言を求めること.
  • DOXY上記用量+RFP 300mg静注†または経口1日2回・最初の14日

(†:日本にない剤形)

抗微生物薬適正使用

  • DOXYに対するBartonellaの耐性は,現在までのところ報告されていない.したがって治療失敗は耐性ではなく再発を意味する可能性が高い.
  • ST,フルオロキノロン,第1世代セファロスポリン,ペニシリンはBartonella quintanaに対する効果が期待できず,使用しないほうがよい.

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2024/06/04