日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版

感染性心内膜炎-Bartonella  (2025/11/11 更新)
心内膜炎,自己弁,Bartonella


臨床状況

  • Bartonellaは培養陰性心内膜炎のもっとも多い原因菌のひとつである.
  • Bartonella quintana心内膜炎はアルコール依存,ホームレス,コロモジラミと関連する.
  • Bartonella henselaeはネコおよび弁膜症に関連する.

診断/病原体

診断
  • 血清検査陽性
  • IgGに対する間接免疫蛍光アッセイ(IFA)
  • IgGに対する酵素免疫アッセイ(EIA)も利用してよいが,あまり広く用いられていない:力価≧1:800は強固に心内膜炎と相関
  • Bartonella属間での交差反応が非常に多い
  • 低力価はCoxiella burnetiiと,ときとして他の種と交差反応あり
  • 全血または血漿または切除心臓弁膜のBartonella特異的RT-PCR
  • IFAまたはEIA力価<1:800ならば,全血または血漿のRT-PCRを考慮
  • 全血または血漿の次世代メタゲノムシークエンシング
  • 弁膜組織の組織学的検査
  • Bartonella属の培養,陽性はまれで推奨されない
病原体
  • 他のBartonella属はまれ

第一選択

  • DOXY 100mg経口または静注†1日2回(望ましい),またはAZM 500mg静注/経口1日1回)・12週+RFP 300mg静注/経口1日2回・6週

(†:日本にない剤形)

第二選択

  • RFPが毒性や薬物相互作用のために使用できなければ,それに替えてGM 3mg/kg静注24時間ごと・最初の2週

治療期間

  • 上記の処方を参照

コメント

  • Bartonella感染性心内膜炎の最適治療は不明.抗菌薬の推奨は,症例報告,専門家の意見,および小規模症例シリーズに基づく.欧州心臓病学会のガイドライン(Eur Heart J 44: 3948, 2023)では、DOXY 4週間+GM 2週間の併用が推奨されている.2004年のミニレビュー(Antimicrob Agents Chemother 48: 1921, 2004)では,DOXY 6週間+GM 2週間の併用が推奨されている.
  • 上記の処方は,2025年米国心臓協会(AHA)の科学的見解(J Am Heart Assoc 14: e040218, 2025)に基づくものである.これらの処方は,Bartonella心内膜炎では起こりやすい再発の予防を目的とした長期治療であるため,好ましいとされている.また,第一選択は,免疫複合体性糸球体腎炎との関連からBartonella心内膜炎で特に懸念されるGMの潜在的な毒性を回避するものでもある.
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2025/11/10