false
日本語版サンフォード感染症治療ガイド-アップデート版
コクシジオイデス症-髄膜炎
(
2020/3/17 更新
)
髄膜炎に合併するコクシジオイデス症の治療
臨床状況
頭痛,脳神経麻痺,神経学的巣症状を呈する亜急性または慢性の髄膜炎.
髄液(CSF)の所見:タンパク高値,リンパ球増加,および糖低値
診断:CSF中のコクシジオイデス抗原の存在はCSF中の抗体(免疫拡散法または補体結合法による)よりも高感度であり,抗体はCSFの培養より高感度である(
Clin Infect Dis 61: 1521, 2015
).
血清学的に陰性であっても感染が除外されるわけではない.病初期の検査では偽陰性になることがあり,診断確定のために再検査が必要となる場合もある.
病原体
Coccidioides immitis
第一選択
FLCZ
400~1200mg経口1日1回
コルチコステロイドの補助的使用についてはコメント参照
第二選択
ITCZ
400~800mg経口1日2~4回に分割
VRCZ
初日6mg/kg経口または静注12時間ごと,その後4mg/kg経口12時間ごと(
Clin Infect Dis 36: 1619, 2003
;
Antimicrob Agents Chemother 48: 2341, 2004
).
AMPH-B
0.1~1.5mg/回髄腔内投与・1日1回から週1回,臨床的に効果がみられるまで(難治性の場合にのみ考慮する)
髄腔内投与に関する詳細は,
Clin Infect Dis 64: 519, 2017
参照.
L-AMB
3~5mg/kg静注1日1回(
Mycophathologia 183: 619, 2018
)
抗微生物薬適正使用
再発率は非常に高く,一生涯の抑制治療が推奨される.
コメント
非常に小規模だがレトロスペクティブな対照研究のデータで,コルチコステロイドを用いた補助的治療により,コクシジオイデス髄膜炎患者での二次性脳血管傷害の発症リスクが抑制される(p<0.049)ことが示されている(
Clin Infect Dis 65: 338, 2017
).
妊婦には妊娠第1期で
AMPH-B
を髄腔内投与する.その後の第2期,第3期では
FLCZ
への切り替えを考慮してもよい.
AMPH-Bの髄腔内投与を長期に行う場合,オンマヤリザーバーの使用を考える.髄腔内投与治療はくも膜炎を引き起こすことがある.
コクシジオイデス髄膜炎に関する総説:
Clin Infect Dis 42: 103, 2006
,
Medicine 89: 251, 2010
IDSAのガイドライン:
Clin Infect Dis 63: e112, 2016
【日本の情報】
コクシジオイデス症の診断等に関する連絡先
1)国立感染症研究所真菌部[東京都新宿区戸山1-23-1,電話03-5285-1111(代表)]
2)千葉大学真菌医学研究センター臨床感染症分野[千葉市中央区亥鼻1-8-1,電話043-222-7171(代表)]
分離された菌株が
C. immitis
(または
C. posadasii
)であると同定された場合,感染症法で規定されている特定病原体第三種の輸送規定に従い,都道府県公安委員会に届け出を行い運搬証明書の交付を受けたうえで輸送を行う(
感染症法に基づく特定病原体等の管理規制について
).
ライフサイエンス出版株式会社 © 2011-2024 Life Science Publishing
↑ page top
2020/03/17